中国の水の繊細な使い分け

 
現在中国では水の汚染、河川の汚染や水量の不足がひどい状態です。

今年はついに中国最大の淡水湖である鄱陽湖が枯渇してしまいました。

https://feww.wordpress.com/2015/01/12/overexploitation-drought-destroying-lake-in-east-china/


 
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かつては、中国は豊富な水資源と美しい自然環境を背景に、治療にとても繊細に水を使い分けしていました。

 

今日は中国の水と治療の話です

 

中国の伝統医学である中医学では、水の選択はなかなか奥が深いものがあります。

生薬を煎じる時には、いろいろな水を使います。
「傷寒論」や「金匱要略」、「
本草綱目」などを読むと、かつては処方に応じて水を選択していた様子が伺われます。

中医学では、たくさんの水の使い方の記載が残されています。

 

朝一番に井戸から汲んだ水は「井華水」、

水に土を入れてかき混ぜてから取り出した上澄みを「地漿」とか「土漿」、

湧き水は「泉水」、ひしゃくを使って繰り返し泡立てながら汲んだ水は「甘爛水」、

東に向かって流れる川の水を汲んだら「東流水」、

雪解け水は、「臘雪水」、

米のとぎ水は「泔水(糠米泔)」、

その泔水を少し酸敗させた水を「漿水(栗米粥)」、

雨は「雨水」、

雨が地面に溜まった水は「潦水」、

切った竹の先や木の空洞に溜まった水を「半天河水」、

川岸に天然の甘菊花が生育しその下を流れる水を「菊花水(菊英水、菊潭水)」。

 

他にも、
「寒泉水」「春雨水」「秋露水」「冬霜」「雹」「夏水」「方諸水」「梅雨水」「半天河水」「液雨水」「屋霤水」「茅屋漏水」「玉井水」「碧海水」「千里水」「逆流水」「順流水」「急流水」「温泉」「冷泉(椒水)」「生熱湯」「熱湯」「麻沸湯」「繰絲湯」「甑気小」「銅器の水蒸気」「炊湯」「六天気」「白滾水」「湖水」「氷」「冬霜」「露水」「雹水」「千里水」「立春晴明二節水」「穀雨水」「端陽水」「小満芒種白露三節水」「立春水」「寒露冬至小寒大寒四節水」「玉井水」「乳穴水」「海水」「碧海水」「鹽膽水」「阿井泉」「山巖泉」「市門溺坑水」「糧罌水」「陰地流泉水」「甑気水」「熟湯」「生熟湯」「神水」など、

まだまだあります。

 

これらの様々な水を、患者の状態に合わせて使い分けをしていきます。
 

例えば、

心身の虚弱を治すためには井華水や甘爛水、

肝疾患には臘雪水、

腰膝の症を治すには順流水、

邪気を祓うには東流水を用いるなど、

細かく顔を洗う水までもが様々な書に記載されています。

 

様々な水の使い分けには、経験的なものから使い分けている場合も多いと思われますが、

世界各地のシャーマンたちにはトランス状態の時にこれらの情報を高次から示されることもあり、興味深い使い方をするものもあります。

 

今日も長くなってしまいました。
 


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