野生の生薬の乱獲 動物編

現代では薬効の優れた動植物の野生種は、需要が増えれば乱獲される危険性があります。

 

野生動物の乱獲で現在最も問題となっているものに、サイやトラなど貴重な絶滅が危惧されている大型哺乳類の密猟があります。

これらは主に中医薬や漢方薬として珍重され、いまだに需要が絶えません。
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現在では、密猟グループも武装化しているため、より多くの大型動物が殺される事態になっています。
 

サイの角は、犀角(さいかく)として、金やプラチナといった貴金属やコカインよりも高く売られ、

大きなビジネスになるために、

以前は年間数頭だった殺戮数が、

2008年以降に急増し、

現在は年間1000頭を超えてしまいました。

密猟の急増と武装化にはテロ組織も関与しています。

https://www.thedodo.com/oscar-winning-director-links-t-858656910.html?utm_source=huffingtonpost.com&utm_medium=referral&utm_campaign=pubexchange_article

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このままでは確実に絶滅します。
すでにベトナムでは最近ジャワサイが絶滅し、
キタシロサイはたった数頭しか地球上に残っていません
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密猟が多い国は、
貧困度が高く、
政治的腐敗がひどい国であることがわかっており、
需要の根絶だけではなく、供給側の
社会的な問題解決が必要とされています
 

さらに最大需要国である中国の経済成長に伴い、大型動物の密猟が激化しています。

象牙の違法輸入の増加グラフと中国の家計支出グラフが一致するもデータから見ることが出来ます。

 

動物生薬は年々高価になってきており、

麝香(じゃこう)、虎骨(ここつ)、羚羊角(れいようかく)、鹿茸(れいじょう)、熊胆(ゆうたん)などでは
偽物や混ぜ物をして量を増やしたまがい物も流通し、
 

熊胆などは見るに堪えない動物虐待工場まで存在しています。
 

中国では、ツキノワグマが国家二級重点保護野生動物に指定され、
「胆汁採取のためにクマを殺すことを禁じた」ため、
「生きたまま胆汁採取する工場」が中国各地に建てられました。
クマは身動き取れない檻に収監されたまま、
生きながらお腹に穴をあけられて胆汁を抜きとられ続けています。

 

また一般の医薬品でも流行により、動物たちが犠牲になっています。
 

例えば、
新型インフルエンザの流行に伴うワクチン製造の際に、ワクチンに入れるアジュバントという成分にサメの肝臓から抽出した「スクアレン」という成分を使います。
そのため、現在生息数が激減しているサメをたくさん犠牲にしなければならないのです。

しかも、初期の頃に作られた新型インフルエンザを接種した子供たちが集団でナルコレプシーになるなど副作用問題も相次ぎ発生し

http://www.infowars.com/800-european-children-develop-narcolepsy-after-receiving-h1n1-vaccine/

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インフルエンザワクチン自体の効果も疑問視する声もでています。

http://www.naturalnews.com/033998_influenza_vaccines_effectiveness.html

今年は少しだけ効果があったようです、23%の予防効果。でも多くの副作用報告も。
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あれだけたくさんの野生動物たちを犠牲にして作ったのに・・。



また、マラリアの流行する発展途上国では、エイの歯を生薬として利用するため、乱獲が横行され、生息数が激減しています。

このような例はとてもたくさん報告されています。

長くなってしまいますが、最後に古代ローマ帝国とアメリカ先住民の話をします。

 

地中海にツロツブリとシリアツブリボラという巻貝がいます。

ツロツブリは、主にキプロス南沿岸に生息し、シリアツブリボラは、地中海から北西アフリカの沖合の砂底に生息しています。

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古代からの乱獲のために、現在では深い海でしか獲ることが出来ません。

 

これらの貝からは、古代フェニキアの重要な特産品である「チリアンパープル」という染料がとれます。
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古代フェニキアのチリアンパープルの使用は、紀元前1600年頃から始まったといわれています。

チリアンパープル

一度染めたら色落ちしない、

希少であること、

呪術にもちいられたことなどから珍重され、

高貴な色として高く評価されていました。

古代ローマ時代には、ジュリアス・シーザーがチリアンパープルの服を着る権利を独占し、

ローマの皇帝や元老院議員だけが用い、「帝王紫」とよばれて、皇帝の色となりました。

中世では、皇帝だけでなく聖職者の高位にあるものが着用するようになりました。

 
古代ローマでは、これらの貝を手当たり次第乱獲し、貝を割り潰して染料の原料を採取していました

ただこれらの貝はとても小さく、一度に取れる染料の量はわずかなもので、

1万個の貝をつぶして得られる色素はたったの25グラムでしたから、

非常に高価で貴重なものでした。
 

乱獲によって、生息数は一気に激減し、さらに高価なものになったとされています。

中世では、
皇帝だけでなく聖職者の高位にあるものが着用するようになり、

この乱獲は、ビザンチン帝国の崩壊まで続きました。

一方、アメリカ先住民族たちも、同じように貝から染料を採取しています。

アメリカ先住民は、地中海の人々がやっていた貝を砕いて染料をとるような乱暴な方法でなく、

綿糸の束の上に貝を置いて、軽く貝殻を叩くと、貝が殻に身体を引き込むときに鰓下腺から放出された粘液を糸に塗り付けたという方法をとっていました。

その後、貝たちは海に戻してあげるそうです。

これは貝を潰すのと比べると、気の遠くなるような作業ですが、貝の命を犠牲にすることがありません。
 

私たちが今後目指すのはこのような世界ではないでしょうか?

 

私たちは、貴重な動物の殺戮に頼らなくとも、病気を治す方法があるのです。
 

一人一人が現実を知り、気を配り、行動することで、大きく世界は変化していきます。



 

今日もありがとうございます。

 


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参考文献:「臨床家のためのホメオパシーノート」森井啓二著 NAnaブックス

臨床家のためのホメオパシーノート 基礎編 (Nanaブックス)
森井 啓二
ナナ・コーポレート・コミュニケーション
2010-09-18


「臨床家のためのホメオパシー・マテリアメディカ」 エンタプライズ出版