2015年5月末に
第一生命保険が、第28回サラリーマン川柳コンクールで、4万138作品の応募の中から、
得票が多かった上位10作品が発表されました。
その一番目は、
「皮下脂肪 資源にできれば ノーベル賞」
うーん、みんな太り過ぎ?食べ過ぎ?
でも、
本当は
皮下脂肪は大切な生薬資源なのです。
このブログでは
「犬の肥満のお話」、「猫の肥満Part1」、「猫の肥満Part2」で
体脂肪の話をしました。
今回は、伝統医療の分野での生薬としての利用の話です。
ちょっとだけ話しが長いので、医療関係者向きかも。
脂肪は生薬として、さまざまな使い方があります。
まずは体脂肪の話から始めます。
現代の日本では、体脂肪が気になる方が多いようですが、
実際に犬や猫でも体脂肪が過剰な、肥満動物は増えています。
でも、なにもモデルさんのような体形にならなくても、
適度な体脂肪はいろいろな意味で身体を守ってくれているのです。
脂肪細胞は、多くの生理活性物質を分泌することが判明しています。
それらを総称して
「アディポサイトカイン」
と言います。
アディポサイトカインには、便宜上、善玉と悪玉に分けられています。
でもどちらも生体機能に必要なものです。
悪玉と呼ばれるものには、
TNF-α、
インターロイキン6、
遊離脂肪酸、
PAI-1、
MCP-1、
アンギオポエチン様蛋白質2
などがあります。
(実際には悪玉とはいえ生体に大切な役割を持っているのですが)
善玉と呼ばれるものには、
身体に大切な生理活性物質である
レプチン
アディポネクチン
などがあります。
レプチンは、146個のアミノ酸で構成される食べ過ぎを防止してくれる物質です。
食べ過ぎると、脂肪細胞はレプチンを分泌し、食欲を制御する視床下部へこれ以上食べないように働きかけてくれます。
さらに交感神経を活性化して、エネルギー消費を増加させる役割があります。
アディポネクチンは、太り過ぎでもやせ過ぎでも正常には分泌されません。
適度な体脂肪の時が、もっともよく働きます。
アディポネクチンには、とても身体によい作用がわかっています。
血管を修復し、動脈硬化、心筋梗塞、脳血管疾患などの予防改善
高血圧の予防と改善
老化の予防
高脂血症の予防と改善
糖尿病の予防や症状の改善
抗がん作用
ヒアルロン酸分泌促進
最近は脂肪組織に関する研究がすすめられているので、
ついでに少し体脂肪の話を出しておきましょう。
皮下脂肪が感染から身を守る
カリフォルニア大学皮膚科学の権威リチャード・ギャロ博士が行った研究によると、
人の皮下にある脂肪細胞が、
細菌の侵入を最初に感知して、白血球が傷口に到着するまでの時間稼ぎをしてくれている
のかもしれないという。
もちろん脂肪と言っても適度な脂肪で、
肥満体になると、皮膚感染のリスクが高い可能性があることがわかっています。
カラパイア出展
体脂肪は呼吸から排泄
従来の考えでは脂肪はエネルギーと熱に変換されて消えると考えられていましたが、
最近の研究によると
我々の体脂肪のうちの80%以上が、息を吐き出したときに一緒に排出されていることがわかったそうです。
また脂肪には、通常の白色脂肪細胞の他に、褐色脂肪細胞もあります。
褐色脂肪細胞は、
肩甲骨間や腋窩など限られた場所に存在し、
体温調節などの大切な役割を担っています。
この褐色細胞を活性化する方法は、
適度な運動や
ストレッチ、
寒冷刺激
など、
いろいろ知られていましたが、
最近の研究で
寒さへの曝露によって、白色脂肪細胞が褐色脂肪細胞へ変換されることが判明しました。
EurekAlert!
まだまだ脂肪に関しては未知の役割がたくさんあるとされ、解明が進んでいます。
たとえばイルカなどは、体脂肪のおかげで、常夏の海でも極寒の海でも体温を一定に保つことが出来ます。
イルカの耳はとても小さく、音は下顎で受け止め、下顎骨で伝達されて、脂肪組織で音が増幅されて、中耳、内耳へと音が伝えられます。
さらに、
いるかの前頭部には、メロン体と呼ばれる最も大切な脂肪組織が存在するのです。
下の図の青い部分です。
なので、太り過ぎは良くありませんが、とても大切な組織です。
よく太り過ぎは、ブタさんに喩えられることが多いのですが、
それはブタさんに失礼です。
豚さんの体脂肪率は、一般的に14-18%であり、
なんと
スリムな女性モデルの体脂肪率とほぼ同じくらいなのです。
MailOnline
さて前置きの余談が長くなりましたので、
脂肪を使った伝統療法の話は、次の日に。
今日もありがとうございました。
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