漢洋脚気相撲
 

日本では、平安時代頃は脚気は上流階級の病気でした。
江戸時代になると富裕層の間では、
玄米の代わりに精米した白米を食べる習慣が広まりました。
お金持ちは、美味しくて、真っ白で綺麗なごはん。

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これによって、将軍をはじめ富裕層に脚気患者が多く発生し、
その後精米が町人にまで広がると、脚気患者は一気に増加し
「江戸患い」と呼ばれるまでになりました。
 

経験的に白米ではなくビタミンB1を多く含む蕎麦を食べるという養生法が漢方では知られていたものの、
一般的に認知されませんでした。
さらに当時はまだビタミンという概念がありませんでした。
その後、蕎麦が一般に広まったのも、
この江戸患いがよくなるという噂が広まったためとも言われています。


漢字では、米へんに白と書いて粕(かす)
米へんの健康の康と書いて、糠(ぬか)

と書きます。

白米では、栄養の詰まった胚芽部分である糠を取り除いてしまうのです。 

精米で失われるのは、ビタミン、ミネラル、脂肪、繊維、・・。
昔の人が「一汁一菜」で健康でいられたのは、精米しない玄米のおかげです。
白いご飯で「一汁一菜」したら、たちまち病気になってしまいます。 

http://matome.naver.jp/odai/2138875897526450001


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栄養比較白米100g 玄米100g玄米の栄養比率
エネルギー356Kcal350Kcal98%
たんぱく質6.1g6.8g112%
脂質0.9g2.7g300%
炭水化物77.1g73.8g96%
灰分0.4g1.2g300%
ナトリウム1mg1mg100%
カリウム88mg230mg261%
カルシウム5mg9mg180%
マグネシウム23mg110mg478%
リン94mg290mg309%
0.8mg2.1mg263%
亜鉛1.4mg1.8mg129%
0.22mg0.27mg123%
マンガン0.8mg2.05mg256%
ビタミンE0.2mg0.3mg150%
ビタミンB10.08mg0.41mg513%
ビタミンB20.02mg0.04mg200%
ナイアシン1.2mg6.3mg525%
ビタミンB60.12mg0.45mg375%
葉酸12μg27μg225%
パントテン酸0.66mg1.36mg206%
食物繊維(水溶性)0.7g 
食物繊維(不溶性)0.5g3.0g600%

※科学技術庁資源調査会《五訂日本食品標準成分表》より 
 
ただし、
玄米は炊き方がとても大事です。
白米とは違う炊き方をします。
玄米は生きた米で、発芽を抑える物質が含まれているからです。

それを無毒化する方法で、炊飯します。
ちなみに私は、手間と時間を省くため玄米専用炊飯器を使用しています。 




幕末になると十三代将軍も十四代将軍も脚気にかかりました。

続いて
明治天皇も明治十年に脚気になりました。
 

それで、
政府は本腰を入れて明治十一年に脚気に対応する病院を作りました。
 

そこでは、
西洋医と漢方医の両方に治療させて、
どちらがよく治療できるか
を明確にする
目的もありました。
 

ところが

明治政府に優遇されていた西洋医学側が事務局を掌握していたため、
結局は、 

公正な記録は発表されず、残されませんでした。
 

口伝では漢方の治療の方がよかったとされる一方で、
記録では西洋医学の方がよいとされたようです。

これは漢方と西洋の脚気相撲と呼ばれています。

 
 

作家として有名な森鴎外は、
この頃に東大医学部を卒業して医師になり、
日本の陸軍のおよそ三割が脚気になっていたために、
陸軍省派遣留学生としてドイツでその原因を解明しようとしました。
 

実際には
明治天皇の脚気を治すということが命題にあったようです。

鴎外は、政府に命ぜられた留学の直前に脚気で苦しむ明治天皇に拝謁し、
皇居吹上御苑の宮中三殿の1つである賢所(かしこどころ)に参拝しています。

ただ、
この頃ドイツにはあまり脚気はなかったようで、
脚気に対する成果はなく帰国します。

それで
脚気の原因は、細菌ではないかとも言われていました。 
 

 

その頃ちょうど、牢獄の食事が、
白米から麦飯に換えたところ、
脚気の発生率は激減した
ことを受けて、
 

海軍の軍医総監であった高木兼寛は、
脚気の原因が栄養欠乏によるものだと気づき

軍隊にも麦飯を奨励したところ、脚気は激減したのでした

一方、
脚気細菌説を疑った陸軍では、
食事改善は行われず、多数の死者が出たそうです。
 

現場での事実はすでに明らかになっていました。

 
 

明治天皇は、白米から麦飯に換えて脚気を治しました

陸軍も海軍よりおくれること30年、
麦飯に換えて脚気の兵士は激減しました。

 
当時の陸軍医務局長は
「麦飯で脚気が治るなどあり得ない。科学的根拠がないからだ。」
と厳しく反論をします。

そのため、
何度も兵士の食料を白米に戻し、脚気になり、
また麦飯に戻すことを繰り返しました。


私たちの世代では、健康診断と言えば、膝のお皿の下を叩く脚気検査が主流でしたね。 

 
 
 

この事例のように、
事実治癒している人が圧倒的に多数いるのもかかわらず、
その理論が科学で証明出来ないという理由で
非科学的という一言で否定されてしまうという治療法は現在でもあります。


最近では、否定されるだけでなく、
ホメオパシーのように、
意図的にネガティブに作られた
QUORUMガイドラインを満たしていない)メタ分析論文を利用して弾圧される治療法も出てきました。

ホメオパシーが普及すれば、
医薬品の利益が激減してしまう可能性があるからです。

論文による世論操作については、当ブログの過去記事
「お金で歪む科学的事実」
「論文の信憑性」
をご参照ください。

 


そこには経済的な理由も見え隠れします。
あまり安く、誰でも行えてしまう治療法が普及すると、
不都合が生じてしまう社会構造になっています。

例えば、
もし、

超安価な重曹で癌が治ってしまったら、

bakingDr.Sircus.com

どこにでも生えているタンポポで癌が治ってしまったら、
tanpopoNaturalNews

いままでの超高額の抗癌剤から富を得ている利権構造は崩壊してしまいます。

 

日本の医療現場では、
多くの代替医療は科学的根拠に基づいた医療中心の現場では異端扱いされていますが、
何故か優秀な医師の先生方には自分や家族の治療には代替医療を取り入れている先生方が多いのは事実です。

 
今日もありがとうございます。

参考文献:

臨床家のためのホメオパシーノート 基礎編 (Nanaブックス)
森井 啓二
ナナ・コーポレート・コミュニケーション
2010-09-18



 


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