統合医療をしていると、
薬草の勉強をすることがとても多く、
様々なシャーマンの話も出てきます。

シャーマンとは一般にはあまり聞かない言葉だと思います。
語源は、シベリアの人々の言葉に由来します。 
「自分自身を肉体から解放し、天上や地下の世界へ 行くことが出来る」人という意味の語です。

今では世界各地のシャーマンは、
「病気を癒し、天候を操り、恍惚状態になり精霊や霊たちと交流し、悪い気を払い、魂を天や地下へ移動できる人々」というのが共通点になっています。

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シャーマンは、部族において、唯一この世界と霊の世界を理解し、繋ぐとても神聖な役割を持っています。


今日はシャーマンの病気治療に関する話です。

シャーマンは、すべての病気の根源は、霊や魂の問題に起因するとしています。
これは今回の生だけではなく、過去世に渡る長い魂の歴史を見通したものとされています。
 

世界各地のシャーマンたちは、
動物に攻撃されたり、
崖から落ちたり
という一見偶発的に思える事故に対しても、
自分自身の内面のエネルギー場の乱れが引き寄せた因果応報の結果としてみなします。

これはシャーマンのみならず世界各地の治療実績の豊富な心霊治療家たちも同様の見解を述べています。 


まずは、アフリカのシャーマンの話。

ナイジェリアのシャーマンであるババラウォは、
ヤシの実に小さな声で病状を話した後、
そのヤシの実を地面にあるボードに投げます。
ババラウォは、そのヤシの実を見て、診断して治療を行います。
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ババラウォにとって、
目に見えない実体である霊力は、宇宙の万物と相互依存状態で存在し、
身体はそれを投影している部分の一つとして考えます。
そのため、ババラウォは高次の意識状態の時に、
投げたヤシの実の中から患者を読み取ることが出来るそうです。

現代人からすると、一見馬鹿らしく思えるかもしれませんが、
それでも現代人も水晶占いやタロットを信じています。
人によっては、新聞の今日の占いまでも信じているかもしれません。
ヤシの実とそんなに違いはないように思えます。

万物万象は、不可視レベルで相互に複雑に関連し、影響し合っています
だから日常のあらゆるものの中に
すべてに繋がる情報が隠れています。
意識を深くして、常に深い観察眼を心掛ければ
風や水の音、雲の形から人や動物の仕草やタロットの絵柄にまで、
一見関連性が無いような事象からも必要な情報を見つけることが出来るのです。

この世界のすべてのものは一つに繋がっているという考え方は
最近世界中で見直されつつある考え方です。

 

もう二つシャーマンの事例をご紹介しましょう。
まず一つ目は、米国医学協会誌に掲載された報告です。
Journal of the American Medical Association
ワシントン在住の28歳のフィリピン人女性が、全身の倦怠感を訴えてカークパトリック医師の元を受診しました。
臨床検査の結果、彼女はSLE(全身性エリテマトーデス)に罹患していたため、
複数の薬剤を処方しましたが、
強い副作用もあり、効果が見られないまま悪化していきました。

治療のよい反応がないまま
最終的に彼女は故国フィリピンの田舎に帰り、地元のシャーマンに相談したのです
シャーマンは、彼女の病気は別れた恋人の念に原因があるとして、
その邪気を払い、これでもう治療の必要はないと宣言しました。

その3週間後に彼女はワシントンに戻りましたが、医学的に病気は完治して、薬の副作用も消えていたため、
カークパトリック医師は驚いてこの話を医学誌に発表したというものです。
 
この話には続きがあり、
2年半が経過してから彼女は別件でカークパトリック医師を訪ねたところでは、
その時点においてもSLEの徴候は全く見られなかったそうです。

ちなみに、現代最先端医療では、SLEの治療に「別れた恋人の想念」は治療しません。 
一般的には、ステロイドが第一選択となります。 

中医学では、病気を「標」と「本」に分けます。
「標」は表面に現われた症状です。
「本」は病気の本質、本当の原因です。
「素門・陰陽応象大論」の中に、病気を治すには必ず「本」を求めることと記載されています。
ホメオパシー治療も、同様です。
表に現れた症状から、病気の本質を探っていくことから治療が始まります。
そのため、問診では人間関係まで詳細にたどっていくのです。
ホメオパシーには時間を溯って過去の心の傷を修復する薬がたくさんあります。
実際に過去の大きな心の傷を治すことで、
現在の病気が完治してしまう症例はとても多く報告されています。

このSLEの症例では、
現代医療は、「標」を治すことを目的とし、
シャーマンは、「本」を治すことを目的としています。 

コンピューターで喩えて言うと、
エラーメッセージが出た時に、
「標」はエラーメッセージの表示が画面に出ないようにすること
「本」はエラーメッセージが出た原因を修復すること。 
どちらが、本当の修復でしょうか。 

時にシャーマンは自然界の動植物を興味深い方法で利用します。
アメリカ先住民のシャーマンの治療の記録です。
 
医師が現代医学では治療不可能として、
投薬と拘束衣を着せて入院させることしか出来ない精神疾患の患者を
あるシャーマンが治療した記録があります。

シャーマンは、患者の治療にあたって、
薬草を焚いて部屋を清めた後で、
生肉の上に患者を立たせて、
ワシの羽根と爪を持って部屋の中を歌って歩きました。
次に患者の前で彼は狼のようになり、
鼻をクンクンさせてから、
患者に向かって唸り、
シャーマンは咳き込んで黒い物を吐き出しました。

この患者はそれで治癒し、それ以降再発していません。

この治療法は、現代医学しか知らない医療従事者にとっては悪夢のようなものでしかありません。
でも、
この彼の行った「儀式」により完治した場合と
医薬品で心身を麻痺させ続けて拘束衣で抑え続けて治らないままの現代医療と、
はたしてどちらが原始的でしょうか?
 
フランスの人類学者でありアメリカ先住民を中心に研究したクロード・レヴィ=ストロースは、
野蛮から洗練された社会的秩序を形成していったとする西洋主義に対して、
未開社会においても西洋から見ると一見無秩序に見える生活やしきたりの中に高度な秩序が存在している
と主張しています。

私たちは、現代医学が最先端だという固定観念にとらわれ、もっと広い視野で世界を見ることを忘れているのではないでしょうか?

「肉体は内外心霊の表現であり、観念や信念に従って表現される。
霊は目に見えぬが、実在する大いなる創造力であり、
宇宙万物に満ち満ちて、永遠にして無限、夢想にして無念、
すべてに広がり満ちる精妙なる実体である。」
白隠禅師
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臨済禅中興の祖と仰がれる白隠禅師は、京都のシャーマンである仙人によって病気から救われた経験を持ちます。
それによって禅師は、人の病気について深い洞察をすることにエネルギーを注ぎました。

今日もありがとうございます。


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参考文献;「臨床家のためのホメオパシーノート」
臨床家のためのホメオパシーノート 基礎編 (Nanaブックス)
森井 啓二
ナナ・コーポレート・コミュニケーション
2010-09-18