前回は、犬の肥満
肥満について書きました。
http://shindenforest.blog.jp/archives/20938926.html

今日は猫の肥満についてです。 
最近は猫でも肥満が増えています。
ネコ科の動物は、そもそもスリムなはず。
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でないと、狩りは出来ません。
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うわぁ、これは無理。
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猫では、理想体重よりも10%多いと「過体重」
20%多いと「肥満」と定義されます。
猫でも大規模な疫学的調査が行われており、
体脂肪の過剰に応じて、肥満関連の病気の危険性も増大することがわかっています。

犬と同様に各国で猫の肥満調査は行われています。

肥満率

文献

イギリス

40%

Sloth,1992

オーストラリア

19%

Robertson,1999

イギリス

52%

Russel, et.al.2000

アメリカ

35%

Lund et al.2005


犬と同様に猫でもBCS(ボディコンディションスコア)を利用します。
bcscatHills提供BCS表


BCSは最も手軽に評価できる指標です。
その他にも、様々な測定法が試みられています。
例えば、
形態学的な測定
ボディマスインデックス
S.H.A.P.Eスコア
生体電気インピーダンス法
重水素希釈法
二重エネルギーX線吸収測定法
CT
MRI
デンシンメトリー
全身電気伝導度
体脂肪測定
中性子放射化分析

などなど。
ここまでするのか・・・。
当院も体脂肪計を使っていますが、
犬専用なのです。

なかには
こんな難しい数式も・・。
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電卓でも計算が難しそうです。
肥満を測定する執念はすごいものがあります。(・∀・)つ
が、
私は個人的には
体重測定とBCSで充分かと思っています。
なぜなら、飼い主が測定できなければ、減量の成果がわからないからです。
あとは
生後1歳の時の体重を測定して、記録しておくこと。
1歳は、たいてい太る前の理想的体重に近いのです。

 
調査では、
獣医師の肥満の評価よりも、
飼い主は自分の猫の肥満の評価に甘いという研究結果が出ています。
特に、猫の肥満に関する調査では、
飼い主が猫を溺愛して人のように扱う程、肥満傾向が強いということがわかっています。
また、 
犬と猫を両方飼っている家庭の猫では、肥満は少ない傾向があり、
これは猫だけ飼っている人よりも溺愛していないからだと推測されています。
男性が飼う猫よりも、女性が飼う猫の方が、肥満度は高くなります
さらに飼い主が太めの女性と痩せている女性では、 太めの女性は自分の猫を食べ放題にする傾向が見られ、猫と遊ぶ時間も少なく、ご褒美を上げる回数が多かったとする研究結果が出ています。
高級なプレミアムフードを食べている猫は、肥満傾向が強いのですが、
これは美味しいために食べ過ぎてしまうからだと言われています。
総体的に、猫の肥満に関する研究では、溺愛する飼い主側の要因が大きいとされることがわかっています。 
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猫の肥満も、犬と同様に歳と共に増加し、5-11歳の中年齢で最も増加します。
避妊去勢手術後の食事の過剰も肥満の原因の一つになります。

犬と違い、猫は副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症などのホルモン性の病気からくる肥満はほとんどありません。
ステロイドの長期に渡る服用は、肥満の原因になります。 

猫では、純血品種の違いによる肥満の差はあまり明確でありませんが、
マンクスはやや肥満になりやすく、
雑種猫では純血種よりも肥満が多いこと
は複数の研究結果から判明しています。

明日に続きます。

今日もありがとうございました。 



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