前回、種の絶滅の話をしました。

野生動物だけではなく、
私たちの身近な犬や猫にも種の保存と絶滅のストーリーはたくさんはあります。

今日は秋田犬の話です。
秋田犬は、「あきたけん」と呼ばれますが、正式には「あきたいぬ」と読みます。
 
秋田犬は、現在代表的な日本犬6種のうちの一つ。
他には、柴犬、甲斐犬、紀州犬、四国犬、北海道犬があります。
これらは、すでに血統が絶えてしまった「越の犬」と共に文部科学省から天然記念物指定を受けています。

他にも、県の天然記念物に指定された川上犬や琉球犬をはじめ
各地に薩摩犬や肥後狼犬、大東犬など、かろうじて純血の保存されている種や、
仙台犬、越路犬、屋久島犬などのすでに純血が途絶えた種
岩手犬、三河犬のようにほとんど純血種がのこされず、絶滅寸前の種
十石犬、美濃犬、因幡犬などのように再び純血を固定化する努力がなされている種
そしてすでに絶滅した日本犬種類がたくさんあります。
津軽犬、厚真犬、秩父狼犬、戸隠犬、天城犬、壱岐犬、熊野狼犬、
その他日本各地にたくさんの和犬種がありました。

犬の場合には、人々の流行に、種の保存や絶滅が大きく左右されるのです。
それは他の国でも同様です。
例えば、これは英国の記事。
すでにオールドイングリッシュシープドッグやウエルッシュコーギが激減し、絶滅注意犬種にリストアップされています。
以前は大流行したのですが・・。
breedextThe Teregraph


最近では遺伝子解析も進み、
犬種の起源の分類も進んでいます。
201003172788830


秋田犬は、紀州犬と同様に、朝鮮系の犬と共通の遺伝子を持ち、韓国の珍島犬と近く、北東アジアに属する遺伝子が強く、さらにエスキモー犬やサハリンの犬に近いことが判明しています。
 
ちなみに、柴犬も朝鮮系の犬と共通遺伝子を持ちますが、
朝鮮系遺伝子の割合が、山陰系柴犬、美濃系柴犬、信州柴犬の順に低くなります。
10-3gann
 
また、
犬の舌に見える黒い斑点「舌斑」は、日本犬にはある種とない種があります。
舌斑が多い犬種は、北海道犬、琉球犬、甲斐犬などで、秋田犬にはあまりありません。
舌斑は、縄文時代に渡来した犬の大きな特徴の一つで、日本人の蒙古斑のようなものです。

遺伝子解析からは様々な角度から、種の系統を見ることが出来ます。 
このような遺伝子解析の結果を踏まえて、絶滅危惧種を復活させようとする動きも出ています。 
img014National Geographic



外国の種を取り入れた和犬には、
狆、土佐闘犬、日本テリア、日本スピッツ、秋田犬などがいます。

狆などは、江戸時代には、大名、大奥、豪商などが座敷犬や抱き犬として人気を博しました。
かなり高級犬だったようで、
狆専門医もいたようです。
幕末の日本に来たペリーやシーボルトはお土産に狆を連れて帰った記録があります。
ペリーはその中の1頭を英国ビクトリア女王に献上しています。
1-87-184歌川国芳 『御奥之弾初』

話しが長くなるので、秋田犬に戻しますが、
このように日本全国各地にたくさんの和犬がいた中でも
秋田犬が全国的によく知られています。

忠犬ハチ公の影響もあるのではないでしょうか。
亡くなった飼い主の帰りを東京・渋谷駅の前で約9年間待ち続けたハチ公。
人が大好きだったハチは、飼い主の死後に、里親がころころ代わり、寂しかったのでしょう。
ちなみに死因は、フィラリア症と癌でした。
葬儀には約3000人もの参列者が来たそうです。
220px-Hachiko
 
当時は予防薬も無く、東京では犬の死因のトップリストにがフィラリア症がありました。
ハチ公は、ハリウッドでも映画化され、
200hachiHACHI 約束の犬

米国でも映画のロケ地に忠犬ハチ公の銅像が作られました。
ちなみに渋谷駅前のハチ公像は、いままでに再開発などの影響で10回も引っ越ししています。

monument3hachikousa.com/

ハチ公の死後ちょうど80年目に東大農学部に飼い主と再会する銅像が出来るようです。
ハチの飼い主が東大の教授だったからです。
hachi113The HuffingtonPost
左耳が・・。新しいハチ像では左耳が立っています。

slide_402458_4992900_free



さて、
秋田犬は現在2種類います。
秋田犬アメリカンアキタです。
秋田犬にも絶滅の危機や種の保存問題がありました。 
忠犬ハチ公の時代の秋田犬は3種類。
闘犬秋田、シェパード秋田、マタギ秋田の3種ですが、
他の品種と交雑しすぎてほぼ雑種のようになってしまった時代です。
渋谷のハチ公の耳も左が垂れ耳なのは、垂れ耳の犬との交雑が盛んだったので、その影響だと思っていましたが・・。 
ある目撃情報では、ハチ公が犬同士のけんかの仲裁に入った時に、左耳を犬に咬まれたために垂れてしまったという話があります。
ハチ公も、近所のフォックステリアのデビーちゃんとの間に子供クマ公がいると当時の新聞が報じています。
 

秋田犬は、もともと
秋田県大館地方のマタギに飼われていた猟犬「大館犬」が起源です。
この大館犬は他の日本犬種と同様に中型犬でしたが、
日本犬の中で唯一品種改良が繰り返されて大型化され、現在の秋田犬となりました。
秋田県ではかつて闘犬が盛んな時期があり、
より大きく、より強くするために
海外のマスティフやグレートデンのような大型種との交配を繰り返しました。
しかしながら、種の純粋性よりも、闘犬としての価値を目的とした交配であったため、
大正時代には闘犬場の衰退と共に、絶滅の危機が訪れました。
そこで、純粋な秋田犬を復活させる目的で
秋田犬保存会が設立されたのです。
 
しかし第二次世界大戦後でも「闘犬秋田」「シェパード秋田」「マタギ秋田」の3種がいました。
戦後に主に米国兵たちがアメリカに持ち帰り、人気が出たのは、出羽系とも呼ばれた「シェパード秋田」。
米国でもヘレン・ケラーにも贈呈される報道などで話題になったようです。

一方で、日本では、「マタギ秋田」が正当な血統として、これを主に保存してきました。
 
現在の
日本の秋田犬はマタギ秋田の系統、
アメリカンアキタはシェパード秋田の系統です
774px-American-akitaアメリカン秋田WikkimediaCommonsより

日本の縄文時代の遺跡からは丁寧に埋葬された犬の骨が出土しています。
発掘された犬と人の骨の組成の解析から、
当時、人と犬が一緒の食事を分け合っていたことがわかっています。
日本では、ずっと昔から犬との共同生活があった証拠です。

秋田犬の復活をみて、
まだまだ日本各地にいる絶滅しそうな和犬たちが復活してくれること
そして
何よりも
大切に、幸せにされることを願っています。
hachi_1HACHI 約束の犬より

今日もありがとうございます。


人気ブログランキングへ