今週はサクラの開花に合わせて
待合室の造花アートはサクラにしてみました。


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さらに今週は頂いたサクラのリースも飾りました。
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サクラといえば思い出すのが、
黄檗山宝蔵院
(おうばくさんほうぞういん)の桜の版木の話。

印刷文化のさきがけとも言われ、明朝体が現在多く利用され、400字詰め原稿用紙の基礎を作ったとされるのは、宝蔵院の吉野桜の版木です。
貴重な吉野桜で作った六万枚もの版木です。
これを作ったのが、
鉄眼道光禅師。
tetsugenzenji-2出典:黄檗山宝蔵院


お経のすべてを網羅した仏教の百科事典のようなものである一切経は膨大な量で、
毎回紙に書き写していては、多くの人に普及できません。

この一切経には、仏の心得だけでなく、天文、人文、医術、薬学、人道など社会全般のあらゆる面を解き明かした内容であったため、
万人に役立つものであり、
一人でも多くの人に手に取ってほしかったのです。


そこで鉄眼は、版木を使った印刷を決意します。
鉄眼は諸国を廻り、寄付を必死に集めてきます。
ある時は、馬に乗った武士に、寄付を依頼し、
そのまま山を越えて必死についていき、たった一文銭一枚を投げつけられることもありました。


こうして集めたたくさんのお金で版木を購入しようとした矢先に
大阪で大洪水が発生し
出版のために集めたお金をすべて困った人たちへの救済に使ってしまいました。


その後鉄眼は、再び寄付の旅に出て、
長い年月をかけてようやく充分なお金を手に入れ、
今度こそようやく出版にとりかかれることになりました。

と、その時今度は近畿地方で大飢饉が発生。
鉄眼は、再び必死で集めた浄財を使い、人々の救済に使い果たしたのです。

その後、人々の厚い信頼を受けた鉄眼は、
出版するのに充分な寄付を受けることが出来て

一切経出版のための資金が集まったのです。

問題は、版木。
さまざまな木の中で、硬くて摩耗しにくい桜の木が版木に最も適しています。
でも、桜の木は当時保護されていて、そう簡単には入手できなかったのです。

ところが、昔、山を越えてまでついてきた鉄眼に一文銭を投げつけた武士が、
吉野山の桜を守る代官に出世していたのです。

代官は、そのことがとても気になっていて、いつか鉄眼の役にたてないだろうかと思っていたところでした。
桜代官は、「自分は桜の木を守る立場、でも、桜の木を活かすことも仕事だ」と決意し、
幕府を必死に説得して、鉄眼に充分な量の桜の木を送ることが出来たのです。

こうして鉄眼の悲願であった一切経の印刷に成功し、人々に広めることができました。
版木は6万枚、全巻6,965巻。
現在はこの版木のほとんどが国の重要文化財であり、
いまでも印刷に使用されています。

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桜の版木 26.3cm×86.2cm 延宝6年(1678)完成 国重要文化財

この版木に使われた字体が「明朝体」、原稿は20×20字の400字原稿。
これが、いまでも原稿用紙や字体の基礎になっています。

itsaikyo(出典:黄檗山宝蔵院)



今日もありがとうございます。

 
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