前回の鉄眼桜に続いて、今日も桜のお話から。

山高神代桜を見てきました。
時間の都合で、太陽が南アルプスの向こう側に暮れてからの参拝となり、
写真はかなり暗めです。
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山梨県北杜市武川町山高の実相寺境内にあるエドヒガンザクラ
この桜の木は、日本三巨桜の一つ、
そして大正時代に国の天然記念物に指定され、
山高神代桜(やまたかじんだいざくら)という名称がつけられています。

この名称は、ヤマトタケルが植樹したとの伝説に由来します。

幹は、すごい迫力で、もう桜の木には見えません。
樹高10.3m、幹の周囲は約10mもあります。
日本最古の桜の木です。

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樹皮は、長い年月を生き延びてきた感じが出ています。
樹齢は、1800年から2000年と推定されています。

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鎌倉時代、日蓮上人がこの地を訪問した時に、この木は樹齢千年を越えていました。
日蓮上人は、この木が衰弱してるのを見て、
祈りを捧げ、再び樹勢を回復したと伝えられています。
そのため「妙法桜」という別名もあります。

枝はたくましい太い腕のようです。

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この太い幹の上の部分は、昭和34年の台風7号の暴風で折れてしまったため、
上がありません。
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日が暮れてから行ったので、あっという間に暗くなってしまいました。
かなり花が咲いていましたが、ほとんど人はいません。
でもそのおかげでゆっくりと対話出来ました。


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ちなみに、この実相寺の境内には日本三大桜といわれる福島県三春の滝桜や岐阜県根尾谷の淡墨桜など、全国の有名な桜の枝分けがあります。

写真は、山梨県見延の枝垂れ桜の子です。すで巨樹になっています。
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現在では桜といえば、ソメイヨシノが主流になりました。

これは上野の桜です。
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こちらは千鳥ヶ淵の夜
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とても綺麗で華やかです。
ソメイヨシノの下には、たくさんの人が集まります。

でも、この品種は華やかな時期が短いとされ、
寿命60年説が定説とされています。
確かに、全国各地のソメイヨシノは、樹齢40年を超えると劣化が顕著になり、
60年目で幹の中には空洞ができ始めるものが多いようです。
ある調査の結果では、60年齢以上の場合、約80%のソメイヨシノが「倒木の危険」レベルだったそうです。


でも、ソメイヨシノが本来持つ寿命は本当に短命なのでしょうか。
よく手入れされているソメイヨシノでは、樹齢100年を超えるものもあります。

このブログでもオルカの話を書きましたが、水族館のオルカは野生種の寿命の十分の一以下です。



ソメイヨシノは、
江戸時代植木屋「染井」がより美しい花を愛でるために創り出した品種です。

最近行われた遺伝子解析では、
ソメイヨシノは、先ほどの長寿桜の代表であるエドヒガンザクラとオオシマザクラをかけあわせて作った品種であることがわかっています。
だから長寿の遺伝子もある程度は継承されているはずです。

ソメイヨシノは、見事な花を継承するために、
種子による繁殖ではなく、すべて挿し木により増やす方法をとっています。

忍者で言えば分身の術、現代科学風に言えばクローンです。


そして、
ソメイヨシノをさらに美しく魅せるために、
樹木の間隔を大きくあけないで植え込むことが多いです。
まとまって一斉に開花すると、とても見栄えがいいからです。

本来、桜の木は、広いスペースに1本だけある時には、枝を大きく横に拡げます。
でも密集して植え込むために、隣の木の枝同士が重なり合います。
通常の木とは違い、ソメイヨシノはクローンの性質があるために、
隣の木の枝を、自分の枝として受け入れてしまうのです。
すると、枝同士が入り組み、日照不足が生じます。
風の通りもよくありません。

自然界のお日様の光と風には、雑菌の繁殖を防ぎ、木々を健康に保つ効果があります。
これはまだ科学で充分に解明されていません。
英国国防省で、日光と風が健康状態に与える影響が研究が行われたことがあります。
空からバイオテロが起きた時のための研究です。
この話は、長くなるので、またいずれ書きましょう。
結論としては、日光と風は健康状態を保つには、とても重要だということです。

ともかく、
ソメイヨシノの密な植林による
光と風の不十分な環境が、
樹木を弱らせる一つの理由になります。
ソメイヨシノは特に「てんぐ巣病」に罹りやすいのです。
そして、クローンとして密に植樹されていますから、
次々と病原体は伝播してしまいます。


さらに、ソメイヨシノの周りには、人が集まります。
根の周りの土が過剰に踏み固められてしまうのです。
これも根によくありません。
根は、樹木に必要な栄養成分を吸収する最も大切な部分。
これは土の硬化により、細根は窒息し、栄養も水分も充分摂取出来ない状態になってしまうのです。

さらに、ソメイヨシノは、エドヒガンザクラとオオシマザクラの交雑種から挿し木で全国に増やしていった品種です。
もともと植物には品種ごとに最も適した土壌や気候、環境因子があるのですが、
見た目を重視する一方で、
そうした植物側の環境適地を軽視して全国さまざまな環境の土地に広がったようなものです。


加えて
最近ではWiFiや携帯電話基地局をはじめとするたくさんの電波に24時間晒されています。
WiFiの植物に与える影響の研究では、有害性が明確に示されていますが、
植物は逃げるわけにはいきません。

植物の気孔に詰まるような汚染微粒子の存在も確認されています。
酸性雨も深刻になってきました。

過剰な騒音や夜の人工的な灯りにも晒されています。

樹木の命に最も大切な土壌も
都会の多くの土壌は、半分死んでいるような劣化状態です。
原生林の質の良い状態の一握りの土の中には、
50億の細菌、2000万の放線菌、100万の微生物、20万の菌糸などが存在し、
森の中のあらゆる動植物を育てています。
それが都会では、大きくバランスが崩れています。


他にも植物にとって有害なものはたくさんあります。
こうした快適とは言えない環境の中で生育しているのです。


私たちは、樹木の立場に立って、考えなければなりません。


サクラの環境をしっかりと管理している自治体もあります。
そういった地域では、
ソメイヨシノはとても長生きし、さらに元気を保っているのです。

動物もケアをしてやれば、健康で長生きする。
当院のぴっぱちゃんも18歳過ぎて、ますます元気です。

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それは植物も同じこと。
特にソメイヨシノは、人為的に創り出された品種であり、
野生種とは違います。
人のケアがなければ、健康に保つことは難しいのです。
でも、ケアすれば長生きする。


さて話は変わりますが、
こちらは若いソメイヨシノの樹皮。
ソメイヨシノの花言葉「純潔」「優れた美人」が似合う木の肌です。

ソメイヨシノ


そしてこちらは、推定樹齢2000年の日本最古の神代桜の樹皮。

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どちらにも各々違った美しさがあります。

この長い年月の風雪にも耐えて、
いまなお花を咲かせ続ける山高神代桜を見て感動する人は多いと思います。
 
私たちは、物質的な生活の中で、
外見をより重要視してしまう傾向があります。


見た目の美しさはやがて色あせ、消えていきます。
でも
清らかに、素直に、力強く生きた桜も人も、そして動物も、
年月を経るにしたがって
見た目は衰えても
魂の美しさ、内面から出る輝き美しさを感じることが出来ます。



最後に、
あるアメリカ先住民の女の子が、アメリカの都会へ招待された時の話をしましょう。
彼女は、あるお金持ちの手配により、都会へ連れて行かれ、
全身を綺麗にされ、
髪の毛を当時の流行に合わせてカットし、
高価な衣装を身にまといました。

その時に同行したアメリカ人たちは、
最初に女の子が髪の毛も自然なままで、薄汚れた洋服を身につけていた時にはあまりいい顔をしていませんでしたが、
高価な衣装を身につけた途端に、
皆が綺麗だ綺麗だと褒め称えたそうです。

この時にこの先住民の女の子は、
「この人たちは、私を見て褒めているのではなく、見た目や高価な洋服だけを見て褒めている。どうして私という人間を見てくれないのか。」
との感想を述べています。



真の美しさは、外見ではなく内面の美しさや強さから輝き出るもの。
それは年を経ても衰えることはありません。
神代桜は、どんなにボロボロになっていても、人々に美しさと感動を与え続けています。

私たちも、
見た目の美しさを磨く前に、
人は魂の理想、理念を整えるべきでしょう。

それが本当の美しさにつながるはずです。



今日もありがとうございました。

 
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