現在ノルウェイではオオカミの数が激減中です。

640x364wolfGunner Ries Amphibol / Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)

ノルウェイでは、オオカミは、法的に守られていません。
現在署名運動による嘆願書が提出されています。
以前はノルウェイには1,000頭ほどのオオカミがいましたが、
現在は28~32頭しか残っていないと推測されています。
ノルウェイでは、オオカミはヘリや雪上車まで使って射殺するので、オオカミたちは逃げ通すことができません。

ノルウェイでの調査では、80%の国民が自分の国にオオカミがいることを好ましくおもっているにもかかわらず、
殺処分できる法的体制になったままなのです。


オオカミ保護のスウェーデンと殺処分容認派のノルウェーは、スカンジナビア半島に生息するオオカミに関して意見が真っ向から対立し、外交問題にまで発展しました。



現在ヨーロッパ各地ではオオカミの保護運動が始まっています。
その結果、ドイツ、イタリア、フランスなどではオオカミの数が回復傾向にあります。
最近では、こんな記事もありました。

「冗談ではなく、140年ぶりにオランダにオオカミが復活」

wolffoundnPHYS ORG


日本では、ニホンオオカミとエゾオオカミは共に絶滅しました。
かつての日本人やアイヌ人は、オオカミ(大神)を、神の使いとして大切にしていました。
漢字では、「狼」、良い獣と書きます。
アメリカ先住民も神の使いとして見ています。

オオカミが絶滅した地域では、食物連鎖の頂点がいなくなったことで草食動物が過剰繁殖して、
地域の植物を根こそぎ食べてしまうような生態系のアンバランも生じています。
米国イエローストーン国立公園で、オオカミが絶滅した時には、ビーバーもいなくなりました。
草食動物が増えすぎたために、ビーバーが生活できなくなってしまったのです。
再び、この国立公園にオオカミが導入され、現在は多くのオオカミの群れもできて、
川にビーバーも戻ってきました。

こちらは川とオオカミの動画
 Youtube



こちらはオオカミ

 Youtube

とても気高く美しい生き物です。


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 オオカミは、よほどの事態でない限り、ひとには危害を加えることは無いと言われています。
それどころか、知性があり、思慮深い動物として知られています。


 次の動画は、
ノルウェイの動物園で保護されている野生のオオカミたちを2年間に渡って世話してきた女性が、
一旦世話を離れて、数ヶ月ぶりに戻ってきた時のオオカミたちの様子を撮影したものです。
オオカミの優しさがよく出ています。

 Youtube
 



 シートンが自分自身の体験を書いた動物記「狼王ロボ」の話があります。
この本が出版された当時の米国では、 オオカミは害獣として駆除の対象でした。
シートン自身もオオカミの殺処分に何度も立ち会い、この物語が生まれました。

シートンは、自分がアメリカ先住民族の生まれ変わりであると強く信じていたので、
人間のオオカミに対する理不尽な殺処分は苦痛であったにちがいありません。

おおまかなストーリーは、

米国カランポー地方では、オオカミによる家畜や猟犬の被害が多く、
それは現地の人々から「魔物」として恐れられている狼王ロボによるものとされていました。

ハンターに頼んだもののロボの殺処分にことごとく失敗して、
牧場を経営する友人は、動物学者であるシートンに助けを依頼することから始まります。

ロボはとても知性があり、
人の作るどんな巧妙な罠にも絶対にかかりません。

そこでシートンは、ロボを直接捕えるのをあきらめて、
ロボがとても大切にしている雌のオオカミ「ブランカ」を捕まえ、
殺してしまいます。

800px-Lobo_(The_King_of_Currumpaw)Wikipedia/ロボとブランカ

「ブランカ」を殺されたロボは、冷静さを失い、
シートンが仕掛けた新型の罠に捕えられてしまいます。

ブランカを殺され、鎖に拘束されたロボはすっかり意気消沈し、
食べ物や水を拒否して餓死します。
理不尽な人間の横暴さに決して屈しないロボの最期の姿を見たシートンは、
ロボの気高さに敬服すると同時に、
誇り高い狼王に対するシートン自身の卑劣な行為を恥じたのでした。


こちらは捕えられたロボの写真
Lobo_After_His_Capture-scロボの最後/pineapplefish56.net

これはシートン博物館に展示されているロボの毛皮です。


LOBO_Seton_Museum-359x545Seton Memorial Library and Museum

このロボの話は、
そのまま現代の私たちの状況を的確に示しています。

とても気高いオオカミに対して、
一方的に理不尽な殺戮を繰り返す人間
そして、
オオカミが絶滅寸前に追い込まれてから、ようやく自分たちの非を恥じる人間の行為。

もうこのような悲劇を繰り返してはなりません。


世界にもう100頭もいない貴重なレッドウルフも、
いまだに次々と射殺されています。
redwoplfWildLifeExtraNews



最後に、
これは米国ミシガン州の国立公園にいる最後の三頭のオオカミです。

980xmishigan

数年前までは数十頭いたのに、
あっという間に、あと三頭だけになってしまいました。
残された個体による近親交配の影響のため、
一番後ろの若いオオカミは、奇形なのがわかります。
つまりこの地域では、このまま絶滅することが確定なのです。


昔から「証文の出し遅れ」という言葉がありますが、
手遅れになって効力を失うことを意味します。
証文を出すべき時を過ぎてしまったために証文が証文として役に立たなくなることに由来する言葉です。
命は、「証文の出し遅れ」では取り戻せません。充分な余裕を持って対処する必要があり、それはすべての生き物にとって、「今」しかありません。

 

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