あるコヨーテの死

コヨーテ:イヌ科イヌ属。オオカミに近い種で、形態も似ていますが、小型。北米に生息。

これはある一人の人間の人生を変え、
多くの人に影響を与えたコヨーテの話です。


今から20数年前のこと、
ブルックス・ファーイさんは、
ある女性から
自分の敷地内に違法に仕掛けられた罠にコヨーテが捕まってしまい苦しんでいる
という電話を受けました。


ブルックスさんが直ちに現場に急行すると、
そこには
美しいコヨーテが罠にかかっていました。

罠が強く、
左の前肢の傷からは皮膚と筋肉が裂けて
折れた骨が飛び出していて、
かなりの重症です。

そのコヨーテは、
罠にかかったままの状態でも落ち着いた眼で、
彼の眼を見つめたのです。

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そのコヨーテは忍耐強く、
そして
冷静に横になっていましたが、
罠にかかってから一週間は経過しているようでした。

コヨーテの横にある木には、無数の咬みついた跡があり、
肢の痛みを木を齧ることで耐え抜き、
脱出を試みたようでした。

さらに驚くことに、
その近くにはもう一頭のコヨーテがいて、
罠にかかったコヨーテを見守り、
食事も運んでいたのです。

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ブルックスさんにできることは、
一刻も早くこのコヨーテを罠から外してあげること。


ブルックスさんは、
コヨーテを罠から外し、
動物病院に連れて行きました。

でも、
コヨーテの罠で傷ついた肢の損傷がひど過ぎたことから、

今後の事をよく検討した結果、

安楽死という決断をしなければなりませんでした。





人によって無差別に罠にかけられ、
殺されてしまった気高いコヨーテはどんな気持ちだったのでしょうか?
そして、
寄り添っていたコヨーテは、
どんな気持ちだったのでしょうか?





何故このような形で、罪のない純粋な動物たちが殺されなければならないのか。

ちなみに、
現在このコヨーテがかかったような残酷な罠で死亡する野生動物は、
米国だけで年間約400万頭以上もいます。

その理由は、
狩猟ゲームだったり、
ただ単に野生動物が嫌いだったり・・・。

とても正当な理由とは思えない。
そして、
その犠牲は年々増加しているのです。

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このコヨーテの件で、
ブルックスさんは
現実に米国農務省で行っている野生動物の無差別殺戮プログラムに疑問を持ち、

活動することになったのです。


米国農務省では、野生動物の数が多いとして、
百万単位の野生動物の命を正当な理由無く奪い続けています。

この一部については、このブログにも何度か書いています。
例えば、
鳥の大量殺戮「バイバイブラックバード作戦」など政府主導で、
罪のない野生動物たちの命を奪っているのです。



現在ブルックスさんは、Predator Defenseの代表として活躍しています。

pdefencePredator Defense.org


そして
ブルックスさんが制作した野生動物たちのためのドキュメンタリー映画

「Wild Things」



各地の映画祭でも賞賛を浴びました。
wildthing23




私たちは、誰もが各々身体をもっています。
指も骨も肝臓も眼も、すべて繋がっています。
だから、
指にトゲが刺されば、
全身で痛みを共有します。
肝臓が悪くなれば、
全身の活力に影響します。
これは当たり前のこと。

でも、
それだけではなく、
私たちは、
すべての人、
すべての動物、
すべての植物、
そして
すべての鉱物ともつながっています。

さらに、
地球とも、
宇宙の星々ともつながっている。





だからブルックスさんも、あのコヨーテの痛みを感じることが出来た。



人とすべての存在の繋がりを感じない人もいるでしょう。

例えば、
私たちの身体は、腸内細菌がいなければ、生きていけません。
細菌は、私たちと密接に繋がっているとは思わないかもしれません。
でも、 
腸内細菌は、物質的にもエネルギー的にも、私たちとはとても密接につながっています。


自分の思考の制限の枠を取り外してみましょう。

私たちは、すべての存在と繋がっている。


一頭のコヨーテの喜びは、私の、そして存在全体の喜びであり、
一頭のコヨーテの悲しみは、私の、そして存在全体の悲しみです。



まともな精神状態で、自分の指を切り落とす人はいません。
それと同じように
動物たちを無差別に罠にかけて殺すことも、自分の指を切り落とすようなもの。

自分を大切にするのは、存在全体を大切にするのと同じこと。
すべての生き物を大切にすることは、自分を大切にするのと同じこと。


これを真に理解するには、
慈悲の心を一つ一つ丁寧に、実践していくしかありません。


今日もありがとうございます。

コヨーテのお話いかがでしたか?
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