先日カラスの恩返しの話を書きました。
カラスは治療後もその恩を忘れません。

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今回はスズメの小話です。
今月衰弱して緊急収容されたスズメさんです。
これは元気になってからの写真です。

このスズメは幼鳥です。
幼鳥のうちは、白い頬の部分にある耳羽の黒色が薄いので、
多少体が大きくなっても、
遠くからでも見分けがつきます。

成鳥のスズメの耳羽は、黒いのです。
スズメは、とても成長が早いです
卵から孵化したらたった2週間で巣立ちします。

他の鳥と違い、オスメスの区別は困難です。

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ぐったりしていたスズメさんでしたが、
たっぷりと栄養をつけて
元気になりました。
しかも、
スタッフの手の上でも懐いています。
幼鳥のため、まだ警戒心がありません。

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カラスと同様に、
このスズメさんは、無事に元気になって大空に飛び立っていきました。
すると
なんと、
毎日早朝に病院を開ける時間になると、挨拶に来てくれるようになりました。
しかも、
他のスズメたちも連れて。
これが一週間続きました。


スズメは、多くの人が考えているよりも
はるかに知的なのです。




もともとスズメは、人里に住みながら、人を避ける鳥です。
それは、
天敵であるヘビや猛禽類、イタチなどが、
人の生活圏にはいないため、安全だから。

でも長い歴史の中で人に捕獲されてきたため、
人をとても警戒することを知っています。

警戒距離(人が近づくと逃げる距離)は、カラスやハトよりも長く、
5m以上の距離に近づくと逃げてしまうのが一般的です。
最近は、警戒心が薄れてきて、人に近づくスズメも増えてきました。
スズメの駆除が減ったからでしょうか。
それでも手の届く範囲には、近づきません。

今回のスズメさんも、警戒心は全く無く、
挨拶に来るということは、治療した人を覚えているのでしょう。


スズメは、
こんなにも身近にいるのに、生態についてはあまり知られていません。




以下は、当ブログの過去記事「鳥たちの違法捕獲と合法虐殺」からの抜粋です。

ご存じの通り、日本でも身近な鳥、スズメが激減しています。 
スズメの個体数は、 
このたったの20年で約6割も減り 
このたった50年で推定ですが約9割の激減です。 

昔は、スズメの声で朝起きたのに、最近は東京ではスズメの数が激減しているのを実感します・・。 

これはただ単に営巣場所や餌の現象だけでは、説明できない問題です。

農家では、稲などを食べるため、「害鳥」扱いされていますが、 
実は、作物につく害虫をたくさん食べてくれる役に立つ鳥なのです。 
害虫を食べてくれる分、お礼に少しばかりの稲をあげるというのは、ダメなのでしょうか。

中国で、農作物を食べるスズメを大量に駆除したことがありました。
その結果は、
害虫が増えすぎてしまい、
農作物は大打撃を追ってしまったのです。
実はスズメは、もう作物を害虫から守る仕事があったのです。


1982年には約300万羽駆除されていますが、その後の駆除数は減少の一途をたどっています。 


suzume2 日本鳥学会誌58(2): 161–170

スズメが減っているのは、人間にとっても良くない環境変化が進んでいる証拠です。
北米のリョコウバトのように、あまりに身近すぎて、減少に気が付いた時にはすでに手遅れで、
あっという間に絶滅した鳥もいます。
スズメも大切にしたいものです。
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「ある小さなスズメの記録」
という実話の世界的ベストセラーの本があります。
img_f8a4889eddfc2dc28d3780文春文庫

1953年に英国で出版され、その後世界各国で翻訳され、
世界的ベストセラーになったある一羽のスズメの記録です。

 第二次世界大戦中のロンドン郊外の町で、
年老いたキップス夫人が、生まれたばかりの雛スズメを保護します。
そのスズメはクラレンスと名付けられました。
そして、キップス夫人の手の中で十数年というスズメにとって長い生涯を終えるまで共に過ごした記録です。

私たちは、この記録から、
驚くべき知性的なスズメの生涯、
こんな小さな鳥が予想を超えて
知的で、
感情豊かで、
愛情に溢れ、
人々の心を気遣い行動しているか、
理解します。


この本で、スズメに対する認識が変わることでしょう。

スズメはとても身近にいながら、
正当に理解されていない生き物の一つです。
理解を深めることで、よりわかり合える。
これはスズメだけでなく、人同士でも言えること。
心を寄せ合うということがどれほど大切なことか。


またスズメたちの囀りが目覚まし時計代わりになる日が来ますように。

今日もありがとうございます。
 
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