ツユクサ

ツユクサのツユは、「梅雨」ではなく、朝露の「露」です。

ツユクサの花は、早朝に咲き始めて、お昼過ぎにはしぼんでしまう「一日花」です。
それが露を連想させるのかもしれません。

花びらが一見2枚に見えるのですが、3枚あります。
3枚の花びらのうち、青い2枚が大きいので目立ちます。
残りの1枚は小さな白い色をして下側についています。

ツユクサ属の学名Commelinaは、
オランダのCommelin家の名に由来します。
Commelin家には三人の植物学者がいて、
そのうちの二人は業績を残し、残りの一人は早くに亡くなってしまったのです。
この植物の二枚の目立つ花びらと一枚のあまり見えない花びらとあっているため、学名になりました。


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雄しべは6本あります。
そのうち上の3本と真ん中の1本、下に向けて長く伸びる2本は形が異なります。
それぞれ、役割があるのです。

花粉を多く出すのは、下の2本です。
上の4本は黄色くて目立つのですが、花粉は少ないみせかけの雄しべになっています。
これは花粉を運んでくれるハナアブの体に
上手く花粉を擦りつける構造になっています。
また、ハナアブが花にやってこない場合には、
上手く雄しべが丸まって、
自家受粉できるように工夫されています。


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種子で繁殖する一年生の植物ですが、
生命力は強いです。

一つの花は、たったの半日しか持ちませんが、
花がしぼむときに、その花びらから栄養素を葉に再吸収させて
その栄養を再利用して、
「苞」と呼ばれる葉の中から、
次々と新しい花を咲かせることが出来るのです。

ツユクサ種子の寿命は長くて、
25年間地中に埋もれていた種子が10%以上の発芽率だったという報告もあります。


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ツユクサの花の青いアントシアニン系色素は、
友禅染めなどの下絵用の染料として使われます。
それは、水に浸すとさっと消えてしまうため染料であるために、下絵には便利だからです。
古くは、「着き草」「月草」とも呼ばれたそうです。

 
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花言葉には、「尊敬」「変わらぬ思い」「密かな恋」などがあります。

開花期に採取した全草を乾燥させたものは、
鴨跖草(おうせきそう)と呼ばれ、下痢止め、解熱、浮腫などの治療薬に使われます。

野菜としても、開花期前のものが一番美味しいとされています。
サラダ、野菜炒め、おひたしなどに利用されます。

花は、食用となるため、料理に添えたり、寒天ゼリーの色つけに利用されます。

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このように、
道端に咲くツユクサにも、
さまざまな生き残りの工夫が見られ、
見た目の花のか弱さの裏には、
とても逞しく生きぬく力を備えているのです。




今日もありがとうございます。


 
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