ネジバナ

この植物は、とても綺麗な桃色の花をらせん状に咲かせます。
ネジのようにみえるので、ネジバナと呼ばれます。

ラン科の植物の通り、小さくても鮮やかな花です。
日当たりのよい場所に咲くので、目立ちます。

細く、長く、伸びているので、可憐な植物に見えます。

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右巻きと左巻きの両方があり、だいたい半分くらいづつです。

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ちょっと栽培の敷居が高いラン科としては珍しく、
雑草のように人間の生活圏に近い所でどこにでも咲いています。

その割には、同一個体の長期栽培はとても難しく、
突然たくさんネジバナ群が形成されることもあれば、
数年で完全に見られなくなってしまうこともあります。
そのため、安定して同じ場所に群落を形成することはありません。

ネジバナの根は菌根となって菌類と共生していますが、
その関係もとても繊細です。

花は、らせん状についていて、
花穂は美しくまっすぐに上に伸びています。

この花の花粉には、粘着質の物質がついていて、
虫がくると、花粉の塊をまとめて持って行ってもらえるよう工夫されています。

そのため、まとめて大量に受粉が可能で、
一つの花に数十万個もの種子を作ることが出来ます。
数が多いために、
一つ一つの種子は、粉のようにとても小さいです。


そのため、
種子には、芽を出すだけの栄養素もありません。
そこで種子は、ある菌に自らを感染させてしまうのです。

種子に感染した菌は、菌糸を出して種子の中にもぐりこんできます。
すると、
なんと
逆に種子は、その侵入してきた菌糸から栄養分を吸い取ってしまうのです。

さらに、その菌糸で栄養を付けた種子は、
今度は種子に張りつく菌体をも分解して発芽のための栄養素にしてしまいます。

見た目からは想像もつかない逞しさを、種子の頃から持っているのです。

ケシ粒よりもはるかに小さなネジバナの種子が、こんなにも強い生き方をしている。

私たちは、たとえば真菌に感染したら、身体は弱ります。
決してその真菌を自らの身体に感染させて、
栄養分として吸収するなんていうことが出来ません。




「芥納須弥」(芥かいに須弥しゅみを納る)
小さな芥子粒の中に、世界一の伝説の高山である須弥山を入れるという言葉。
「毛呑巨海 芥納須弥」の一節です。

一本の毛が大海を呑み、芥子粒が高山を中に入れてしまう。

芥子よりはるかに小さなネジバナの種子でさえ、すごい能力を持っています。


人はあらゆる物事を、大小、高低、などと言った外界の見た目で判断することが普通になっています。
小さいから弱いとか、大きいから強い・・などの先入観。
でも物質的な視点から離れてみると、
すべてのものの本質には、想像もつかないくらい大きな宇宙が拡がっているのです。

一枚の葉も大きな星も優劣の差など無く、
すべての存在は同じ光で出来ている。


人も同じです。
一人一人の中に、広大な宇宙が存在する。
小さいとか、肌の色が違うとか、美しくないとか、ハンデキャップを持っているとか・・・、
そんなあまりに小さな、あまりに些細な、外見的なことで、その人を判断することはできません。

そんな狭い視野に限定して見ないで、
もっともっと大きな視野を養いましょう。


人に会ったら、まず、内面を見ようとすることは、とても大切です。
内面の優美さ、強さは、外見だけからは判断できないのです。


今日もありがとうございます。

 
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