センザンコウ

 センザンコウ1


密猟や違法取引というと、まずゾウやサイ、トラなどの大きな花形動物が目立ちます。

でも、
その陰で、多くの小さな動物たちも違法に捕獲され、殺され、売られていきます。

センザンコウは、小さくてあまり脚光を浴びることはありませんが、
最も違法取引されている動物の代表として知られています。

生薬や媚薬、食用として、お金になるのです。
人間の欲望の犠牲者です。


センザンコウは、
センザンコウ目(有鱗目、鱗甲目)センザンコウ科(1目1科)の哺乳類で、
東南アジア一帯に4種、アフリカに4種 が生息しています。

これら8種は、特にアジア4種はどれも乱獲により絶滅が危惧され、
特に
ミミセンザンコウmanis pentadactylaマレーセンザンコウmanis javanica
深刻な絶滅の危機に瀕しています。
この2種は、かなり近いうちに地球上から姿を消す可能性が高いのです。

他の
インドセンザンコウManis crassicaudataとフィリピンセンザンコウManis culionensisも個体数が激減しています。
最初の2種が絶滅すると、その貴重価値から価格が高騰し、
さらに違法取引が増えると言う悪循環に陥る可能性もあります。


アジアでの個体数が減ったために、
供給元がアフリカにも波及しました。
アフリカの種もすべて個体数が減っていて、
特にサバンナセンザンコウ Manis temminckiiの激減が進行中です。

ロンドン動物協会および国際自然保護連合のセンザンコウ専門グループ代表を務めたジョナサン•ベイリー氏によると、
過去10年間に世界全体で100万頭を超えるセンザンコウが密猟の犠牲になったと推測されています。


とても美しい動物です。

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鱗は、全身に約300枚ほどあり、とても鋭く、身体を守る他に、
尾の鱗は武器にもなります。

お腹が弱点のため、何かあると、可愛く丸まります。
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蟻が大好物で、
鱗の健康を保つために、必要です。

こちらはセンザンコウの子供。
Roxy-8karellgroup.com



世界センザンコウの日(2月の第三土曜日)もあります。
 


この写真は、今年インドネシアで摘発された5トンもの冷凍されたセンザンコウです。
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驚くことに、いまだに日本でもセンザンコウ製品が売られています。



身の回りの品を見回してみましょう。
密猟というと、ゾウやサイなどに目がいってしまいます。
でも、サイフやバッグ、ベルト、装飾品などに、意外な生き物が使われているかもしれません。

「看脚下」(かんきゃっか)
これは、中国の法演(ほうえん)和尚の話に由来すると言われています。

和尚は、三人の弟子と共に暗い夜道を寺に帰る途中のこと。
行燈の炎が風で吹き消され、真っ暗になってしまいました。
和尚は、三人の弟子たちに、
「私たちは、暗闇の中に残されてしまった。先は見えない。さて今何を思うか?」と尋ねました。
(この問は、暗闇を先の見えない将来を暗喩しています)

一人の弟子は、「暗闇を赤い夕陽のようなものと思いましょう。」と答えます。
和尚は、何も言いません。
二人目の弟子は、「暗闇の中の曲がりくねった道は、まるで大蛇のようです。」と答えました。
和尚は、何も言いません。
三人目の弟子は、「足元を見て、歩きましょう。」と言いました。
和尚は、その答えをとてもよく誉めました。

これには様々な意味と解釈があります。

今現実に起きていることに対して、
漠然としたこと理想ばかり考えるのではなく、
「まずは自分のできる事を確実に行う。」
これが最も大切です。

センザンコウは、おそらく聞いたことのない人も、密猟で絶滅寸前の状況に陥っていることも知らない人も多いでしょう。
でも、身近にこのような生き物はたくさんいるのです。
自分の持っている身の回りの品、利用している物、普段食べる食材などについて、
よく見て、検証したことはありますでしょうか?

本当の生物保護は、このようなこと、自分が今すぐできる事から始まります。
それが、「看脚下」です。
自分の日常の行動を振り返ると、
そこにさまざまな教えがあることがわかります。
その教えこそが、今の自分に最も必要なこと。


脱いだ靴をちゃんと揃えていますか?
食事のたびに、感謝していますか?

日常のささいなことの積み重ねが、
その人を創り、
世界に影響を与えるのです。


今日もありがとうございます。
 
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