昨年末に、
アフガニスタンの山岳地帯でカシミールジャコウジカ
66年ぶりに目撃されました。

牙がとてもかわいいです。
雄雌ともに角はありません。
1415032611296 JulieLarsenMaher/WCS/MailOnline


1948年にデンマークの調査隊が目撃したのを最後に、
絶滅したと思われていた種です。


カシミールジャコウジカは、現存するジャコウジカ科ジャコウジカ属の7種のうちの一種。
生息域は、インドからパキスタンに至るカシミール地方とアフガニスタン北東部の険しい山岳地帯です。


今回複数回目撃されたのは、地図の赤い部分
1415033243776_wps_50_image001_png MailOnline

このシカの牙は、
雌を魅了し、また雄同士の争いにも使われます。


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ジャコウジカの発情期は、1月にやってきて、
雌は180日の妊娠期間を経て、1頭(稀に2頭)の仔をもうけます。
生まれた子供は、はじめの2ヵ月間を安全な隠れ家の中で過ごします。
約2年で性成熟を迎えます。

Young-male-Himalayan arkive.org/MichaelJB.Green



ジャコウジカが、絶滅危惧種であるのは、
このシカの雄が持つ生殖腺分泌物である麝香腺のためです。
ジャコウジカの雄の麝香腺と、その中に含まれる褐色から黒褐色の分泌物を切りとって乾燥させたものを
「麝香」といって、
二千年以上前から高貴な薬や高価な香水として珍重されてきました。
1kg当たり、闇市場では純金よりも高い500万円以上で取引されています。

そのため、

雄が密猟に狙われるターゲットとなり、
現在、ジャコウジカの雄の数は、雌の数の十分の一くらいしかいないと推定されています。



ジャコウジカから
麝香腺ごと切り取ったものを玉麝香(別名、整麝香、整香、毛香、臍麝香とも呼ばれています。直径3~7cm)、
麝香腺内に含まれる麝香だけを取り出したものを身麝香(別名、麝香仁、散香、当門子など)
といいます。

mpmgparsha.blog


ジャコウジカは、夜行性で、とても用心深い動物です。
食生活はさまざまな草や芽、花、岩に付いた苔などを食べています。
特に、ジャコウジカの生息地によく生えているセリ科の植物Ferula sumbulを好んで食べます
この植物の根は、麝香に非常に香りが似ています。

雄は、非常に縄張り意識が強く、
自分のテリトリーにある木や岩におしりを擦りつけて、
匂いをマーキングしていきます。

雄は3歳くらいまでに、腹部の麝香腺が発達していきます。

麝香の香りはオスのジャコウ鹿が発情期にメスを誘引する目的と、縄張りのためのマーキングで発するものです。

麝という漢字は鹿を射ると書きます。
この香りが矢のように遠くまで飛ぶことを表わしており、麝香の香りの強さをうまく表現しています。
香りを非常に強烈に放つものほど、良質の麝香と言われています。
Himalayan-musk-deer-pods arkive.org/MichaelJB.Green


麝香は、
ヨーロッパでも古くから高級香水の原料として珍重され、
MUSK(ムスク)と呼ばれています。

天然の麝香は、漢方でも重要な薬になり、非常に貴重で高価なため、
近年は実際に香水などには使われることはありません。

現在、香水に含まれるムスクは、
人工合成された同じような香りを発するものです。

天然の麝香の香りの主成分は、環状ケトンのムスコンというものですが、一般に出回っているムスクは、それに似せて作られた環状ムスクという構造の少し異なる合成品です。
 
このように麝香は昔から高貴な神仙薬、媚薬、香料として洋の東西で使われ、
そのために、
年間1万5千頭ものジャコウジカが乱獲されてきました。
近年、ようやくその貴重さに気がついて、
ワシントン条約により捕獲が禁止されるようになりました。

さらに、麝香自体もワシントン条約の指定品目となっていることから、
輸出国の証明書付きでほんのわずかな量しか輸出入されていません。


麝香の成分には、
香りの主成分であるムスコンをはじめとして、
強い強心作用を示すムスクライドA1、ノルムスコン、ムスコピリジン、ハイロドキシムスコピリジン、アンドロスタン誘導体、男性ホルモン、C19-ステロイド、プロテインキナーゼC、ナトリウム・鉄などの各種ミネラル、パラフィン誘導体、アンモニア化合物、各種アミノ酸、コレステロールなどが含まれています。
 
麝香の薬理作用は、
中枢興奮作用(呼吸中枢や心臓の興奮作用)、血圧降下作用、男性ホルモン様作用、抗炎症作用、抗トロンビン作用、抗ヒスタミン作用、鎮静作用などがあります。
 
昔から蘇生薬の代表として、また、全身の気の流れを強め、経絡の滞りを開き、生命力が極端に落ちているときに活力を与え、悪い影響を及ぼす邪気を取り除くといわれています。
不老長寿から小児の風邪、解毒、精神安定、疲労回復、冷え性、呼吸困難、脳血管障害などに、幅広く使われた貴重な薬とされています。


でももう人間の欲望のために絶滅してほしくありません。
今回もカシミールジャコウジカは、
人の欲望から離れて66年間かくれんぼしてきました。

人間の欲望が強い限り、
人が精神的に成熟するまでは

また数百年かくれんぼ してしまうかもしれません。



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