フィリピンフォーレストタートル(レイテヤマガメ、パラワンガメ)は、
世界で最も絶滅に近いカメの一つです。

頭部の白い線が特徴の一つです。
Heosemys_leytensis07Wikipedia

世界中で、フィリピンのパラワン島の限定された場所にしか生息していません。
Siebenrockiella_leytensisWikipedia

水の中に住む、しかもレイテには生息していないこのカメ。
このカメはその貴重性から、密輸業者の間で価格が高騰し、
産地を隠し、生息域も隠そうとして
レイテヤマガメと命名したとも言われています。

一時期は絶滅したと考えられていましたが、
2004年になって再発見され、
また地球上に生存していることが判明し、
カメの専門家は喜んでいました。

でも、喜んだのは、カメ専門家だけではありませんでした。
最も喜んだのは、密猟業者です。
その貴重性から高価格で取引され始めたのです。


でも、現存する個体数は極めて少なく、
2015年までは、

現在の生き残りはたったの3,000匹と推定されていました。 


ところが、
フィリピンに在る中国人所有地にあるセメントで作られた囲いの中に、
3,800匹もの貴重なレイテヤマガメが発見されたのです。
しかも大量に積まれていて、
飼育環境は最悪の状態でした。
fptTurtle Survival Alliance



水も無い所で、カメが折り重なっていることから、
無数の傷と病気が蔓延した状態。
甲羅が割れているカメも多数いることから、投げられた可能性もあります。

このカメは、自然界では一匹一匹離れて暮らす種類であり、
環境の変化に繊細なことで知られています。

このような劣悪な環境には耐えることは出来ません。


調査に入ったカメ類保存同盟(TSA: Turtle Survival Alliance)代表は、
「たいへんショックであり、悪夢のようだ。」
「多くのカメは瀕死状態であった。」

と語っています。

こちらはTSAのウェブサイト。

tsaturtlesurvival.org



推定生息数を上回る数のカメが押収されたことは、相当なショックだったでしょう。

fpt2Turtle Survival Alliance


世界中のカメ保護団体の支援を受けて、
3,800匹中の数百匹は数日中に亡くなりました。
3,000匹近くは多くのボランティアの人の努力で、
自然に返されました。

残りは、病気やケガの治療が必要でした。

fpt4Turtle Survival Alliance


中国では、アジアや北米の野生のカメを捕獲して輸入していることで知られています。
中国には、カメを食べることが一般的になっています。
特に、「亀苓膏(きれいこう)」と呼ばれる亀ゼリーは、
美肌やダイエットによりという評判が広がり、一般的に食されています。

でも、美肌のために、たくさんのカメの命を奪っていることは、意識されていません。
そのような目的で、多くの命を奪うことが、本当によいのでしょうか。

国際自然保護連合によると、
アジアの淡水カメの75%は絶滅の危機にあると言われています。
日本でもこのカメは、いまだに売られています。


カメを助ける行為は、すべての生き物を助ける行為の象徴でもあります。



『日本書紀』の「雄略紀」に
丹波国に住む浦嶋子という男の話があります。
あらすじはだいたい次のような感じです。

浦嶋子は、舟に乗って漁にでかけましたが、
魚は釣れず、代わりに大きな亀を獲ることができました。
舟の上で、この亀は
とても美しい女性に変身し、
浦嶋子はその女性を妻として迎えます。
そして二人は海中に入って
蓬莱山(とこよのくに)へ赴き、
各地を遍歴して仙人たちに会って巡りました。


『丹後国風土記』や『万葉集』、その他にもほぼ同様の記述があります。

おなじみの浦島太郎の原典です。
一般的な解釈では、
亀を助けたのに、最後にひどい仕打ちにあったとされていますが、
そうではありません。


カメは神の使いの象徴であり、
徳を積んだことにより天界へ行き、
天界での様子や、
天界と地上との時間の在り方、
再び地上界へ戻ってきた時に、欲望を優先するとどうなってしまうのか等
さまざまなことが、
比喩的な物語として記されています。


そのような観点から、浦島太郎を読み解いてみてください。
いろいろな発見や気づきがあると思います。


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