暑いですね。
犬たちの夏の危険と対策はすでに当ブログで少し書きました。
「夏の危険その1:犬:夏の車内の危険性」
「夏の危険その2:厳重注意!真夏の道路」
「夏の危険その3:動物の熱中症」

今回は、そうあってはならないものの、
一度読んでおいても損はない、
米国の赤十字が制作した動物の心肺蘇生法のわかりやすいイラスト図解とその補足です。



Dog Lovers - Timeline Photos | Facebook
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日本のtwitterで南極熊さんが翻訳してくれています
Twitter / nankyokuguma: 犬猫の、非常時の心肺蘇生方法。
https://twitter.com/nankyokuguma/status/456992018837667840

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緊急事態では、
まず、動物病院に連絡をします



呼吸と脈のチェック

緊急事態では、まず、
呼吸と脈を確かめます。
脈が測りやすい場所は、
心臓付近の胸
そして、
太腿の内側の大腿動脈
です。

(他にも動物の前脚の手首、後脚のくるぶしの下もありますが、血圧が低下している場合には触知は難しくなります。)
最も脈が測りやすい太腿の内側の動脈でも、
血圧が著しく低下すると、触知不可能になります。
心臓が動いていても、血流量が極端に低下したり、血圧が30mmHg以下では心音も聴こえなくなります。

この時点で、

目の瞳孔が開いていないか、
歯茎が白や灰色に変わっていないか(正常ではピンク色)
を確認します。

心臓が停止してから30秒で、瞳孔は大きく開き、固定されます。
この場合、瞳孔に強い光を当てても、全く反応しなくなります。
ただし、これは瞳孔反射が無くなったと言うだけで、
死亡したわけではありません。
ちなみに、心肺蘇生中に、開いていた瞳孔が再び縮小してくるのは、良い徴候です。


いつもはどんなに大人しく従順な犬でも、
ひどいケガをしている時や
激しい痛みがある時には
飼い主を咬みついてしまうことがあります。
不意に咬まれないよう
充分な注意が必要です。





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呼吸も脈も無い状態では、直ちに心肺蘇生(CPR)を実施します。
(ちなみにCPRの他に、心肺脳蘇生CPCRとも呼ばれます。)

呼吸が停止すると、まもなく心臓が止まります。
心臓が止まると、呼吸も停止します。
そのため致命的な状態では、ほとんどの場合CPRが必要になります。

心肺蘇生は、できるだけ二人で行います。
一人が心臓マッサージ、
もう一人が人工呼吸です。


ペットに心臓マッサージを行うには、
出来るだけ平らな場所で行います。

右半身を床側にして横たわらせ、
肘のすぐ後ろの胸(イラストの黒丸部分)に手を置いて圧迫を始めます。
大型犬では、胸の一番幅広い場所に、片手の基部を置き、もう片方の手をその上に添えます。

(赤ちゃん犬の場合には、
親指を胸の上、残りの指を反対側の胸に置きます)
脈がある場合は圧迫をしてはいけません。

胸部をリズムをとって圧迫します。
目安は、1分間に100回(小型犬)、80回(中~大型犬)です。
一人で行っている場合には、
5回の圧迫に人工呼吸1回。
二人の場合は、
3回の圧迫に人工呼吸1回です。


1分後に脈を確認して反応がなければ心肺蘇生法を繰り返し、
数分ごとに脈を確認します。
10分経っても、蘇生できない場合には、その後成功する確率は極めて低くなります。

胸部圧迫には、それによって損傷させてしまう危険を伴います。
最も一般的な例では、強すぎる圧迫による肋骨の骨折と気胸です。
そのため、本当に必要な場合にのみ、慎重に行います。

心肺蘇生は大型犬の方が難しくなります。
大型犬では、胸部を圧迫するたびに、心臓と肺が大きく動いてずれてしまいます。
人では、心臓が縦隔にしっかりと固定されているために、安定した心臓への刺激が出来ますが、
犬では縦隔の構造が緩いので、胸部を圧迫した瞬間に心臓は動いてしまうのです。
特に、セッターなどでは、心臓がすぐに動くので、仰向けの状態で圧迫する方が有効な場合にもあります。

心停止した犬では、神経的な異常が残ることがあります。
心肺蘇生後に、最も起こりやすい神経学的な異常は盲目と運動失調です。
盲目は、脳の後頭葉への血流が止まったために起こりますが、
数日から数か月後に自然に回復することもあります。

17頭の猿に心停止させ、10分後に心肺蘇生させた昔の実験では、
96時間目の時点で、17頭中9頭が生存していましたが、
4頭は意識不明のまま、
3頭は、盲目と運動失調、
たった2頭が神経学的に正常でした。



また、脳への血流が止まった場合、
肺水腫が合併して起こり易くなります。
それは、
脳の虚血により、交感神経が緊張して、
肺の細静脈が細動脈よりも強く収縮してしまうことが原因です。



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脈はあるけど、呼吸をしていない場合、
人工呼吸を施します。

私たちの呼気には、16%の酸素が含まれています。
これは、生命を維持するために必要な濃度の2倍はありますので、
人工呼吸は、呼吸停止の犬にはとても有用です。


頭を、首を伸ばすように優しく持ち上げると、気道が開きます。
その時に、
できれば、まず口の中を布で拭いて、
出血や閉塞物がないかどうか確認します。
異物や嘔吐物を見つけたら、すみやかに取り除きます。

口の中の粘膜の色も確認しましょう。

小型犬および猫の場合は、あず舌先を前方に引き出して、
人間の口でペットの鼻と口をくわえこんで空気を穏やかに優しく吹き込みます。
この時に胸がゆっくりと膨らむはずです。
それから口を離して、空気を出させます。
最初の二回は、意識して深い呼吸にします。

中型・大型犬の場合は、人間の口でペットの鼻だけをくわえこんで空気を吹き込みます。

人工呼吸の回数は、だいたい3秒に1回にします。


これらの蘇生法は、文字で読んでも理解しにくいか、すぐに忘れてしまうため、
一度ご家族で、ぬいぐるみを使ってやって、体で覚えておくことをお勧めします。



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異物で窒息した場合、


動物を搬送する時の注意があります。

ショック状態の犬は、
呼吸がしやすい状態を保つため、
血圧の急激な変化を防ぐため、
損傷部位に大きな負担をかけないために、
平らな板に乗せるか、タオルでハンモックのようにして移動するのが理想です。

多くの方は、パニックとなり、犬の体を丸めて抱きかかえて来ますが、
これは呼吸しにくい体勢となることがあります。


心肺蘇生の成功は、
その動物の状態にかかっています。

もともと老衰や重度の病気だった犬に心肺蘇生しても、あまり効果は期待できませんし、
場合によっては、苦しませてしまうこともあります。
若い動物の場合には、心停止後の脳の損傷は比較的軽くなる傾向があります。

まずは、冷静に、ベストを尽くすことです。

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