抗生物質最後の救済薬コリスチン。
このコリスチンでも効かない細菌が発見されました。
つまり、すべての薬が効かないのです。

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コリスチン。

2015年3月に他の抗生物質が効かない細菌感染に限って使用する静脈投与用の抗菌薬コリスチン製剤が
日本でも認可されました。
 
コリスチンは、
もともと1950年代に日本で発見された抗菌薬です。
1970年代まではグラム陰性桿菌由来の感染症に使用されてきましたが、
副作用がとても多く(腎機能障害21%や神経毒性2%など)、
また
新たに安全性の高い抗生物質が製剤化されたことで、
日本国内で注射製剤は使用されなくなっていました。


しかしながら、
世界的には、いまだに家畜の病気の予防治療に大量に使用されてきたのです。
抗生物質を家畜に使用する目的の一つは、
不衛生で過密状態で飼育しながらも、
病気にさせないためです。



2010年の統計では、
世界の農場で家畜に使用した抗生物質は
わかっているだけで
6万3000トン以上になります。

そして研究者は、
2030年までに10万5000トン以上になると予測しています。


抗生物質を投与された動物たちの肉の生産は、
抗生物質に耐性のある「スーパー細菌」を誕生させる原因になっています。





このコリスチンは、
このところの多剤耐性菌の出現で、
再び必要になってきたのです。

それは、
他の抗生物質では、
効かない細菌がコリスチンで治療できるからです。


ところが、
現在のところ
最終救済薬とも言われるコリスチン承認後、
すぐに中国で、
コリスチンが効かない細菌が発見されたのです。

医学誌「ランセット」に発表されました。

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この論文によると、
「MCR-1」という遺伝子を持ちコリスチン耐性となった細菌が、
804匹の動物中の5分の1
523の食肉の15%、
1,332人の患者の1%
から検出されたのです。

MRC-1 遺伝子保有細菌が、
世界中に広まるのは時間の問題と言われてきました。


それが現実に起こるのに
ほとんど時間はかかりませんでした。

この脅威的な細菌発見の発表後すぐに、
デンマーク人の患者から
すべての抗生物質が効かない細菌が検出されたのです。


さらに研究者らは、
中国からドイツに輸入された鶏肉からも
すべての抗生物質が効かない細菌を発見しました。


専門家らは、
すべての国にこの細菌が拡がるのは
すでに時間の問題だとしています。


さらに
抗生物質耐性の別の遺伝子と組み合わされる事態も
もう避けられないのです。

いまは南極からもスーパー細菌が見つかる時代です。
superbugs1newscientist.com

抗生物質を使用することにより、
細菌を根絶するどころか、
より強い菌を生みだしてしまうことは明らかになっています。


しかも国によってはある程度、家畜に抗生物質を使用する規制があるものの、
中国では全く規制する法律が存在しません。


また、
家畜への抗生物質の使用を止めるのは、
政府の規制や法律の整備ではなく、


より多くの消費者が抗生物質を使わない肉を求めること
さらにいえば、
肉食を止めていくことしかありません。





抗生物質と耐性菌は、
テロとテロの報復のような、終わりのない戦いです。
 
本来菌と生物は共存共栄していたものです。

抗生物質に頼る医療は、
近い将来時代遅れになることでしょう。

私たちは、
細菌に対しても、
抗生物質に頼るのではなく、
生体の免疫力を高めることを常に念頭に置かなければならないと思います。



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