類鼻疽(るいびそ)

致死率が高く、
治療が困難な細菌性疾患です。

類鼻疽の原因となる類鼻疽菌は、
土壌中に生息し、

皮膚の切り傷や
土埃の吸入
土の混入した水の摂取など
によって体内に侵入するとされています。

動物たちにも感染します。
farm-animals-animatedCDC



類鼻疽は、診断が難しいために
今までは、
一部地域だけの風土病とみなされてきました。


ところが、
今回の国際研究チームによる最新の研究によると
この病気が過小評価されている実態と共に
この病気が無いとされる地域にも広範囲に発生していることが判明したのです。

こちらは、世界の類鼻疽拡散地図。

nmicrobiol20158-f1nature.com


この研究チームの試算では、
2015年の類鼻疽感染者数は、
165,000人
そのうち
89,000人が死亡。

実は一部地域の風土病どころか
たいへんな数だったのです。


この年間死者数は、
麻疹の95,000人に匹敵し、
世界的に重要視されているデング熱の12,500人を遥かに上回っています。

類鼻疽は、
診断が難しいことから、
適切に診断治療されることなく
多くの人が亡くなっている感染症と言えます。





他にも

世界にはたくさんの感染症があり、
その多くは
実質上
無視されています。


NTDs

Neglected Tropical Diseasesの略です。
(無視される熱帯病群または、顧みられない熱帯病群)

NTDsは、
驚くべきことに
世界149の国と地域で蔓延し、
感染者数は約10億人にもなります。
その中には、
5億人の子供たちも含まれます。
malaria_2123723b Mike Hutchings/REUTERS


NTDsには、
17の病気が含まれます。


ブルーリ潰瘍、
シャーガス病、
嚢尾虫症、
デング熱/デング出血熱、
ギニア虫感染症、
包虫症、
食物媒介吸虫類感染症、
睡眠病、
リーシュマニア症、
ハンセン病、
リンパ系フィラリア症、
河盲症、
狂犬病、
住血吸虫症、
土壌伝播寄生虫症、
トラコーマ、
トレポネーマ感染症



これらの病気の多くは、
短期間に流行したり、すぐに亡くなるような派手な病気と異なり、
ゆっくりと静かに進行していきます。

そして、
時間がたつにしたがって
身体に大きな支障が出て
働くことも出来なくなり、
心身に著しい障害が出てきます。

たとえば、
住血吸虫症に苦しむ人は、世界に2億人以上います。
これは、
長期にわたり、内臓が蝕まれていきます。

この病気は、
抗吸虫薬で低価格で簡単に安全に治療することができるのですが、


それでも現実は
治療が必要な患者のたった14%にしか治療薬が行き届いていないのです。


安価な薬を手に入れることができるなら、
住血吸虫症は治り、
一生に渡り苦しむ必要はないのに、、。

未だにNTDsに苦しみつづけているほとんどの人は、
必要な医療を受けることができず、
必要な治療薬を入手できていません。



貧困国で発生していることや
製薬会社としてはビジネスになりにくいことなどをはじめ
さまざまな理由から
無視されがちになっています。

製薬会社にとっては、
心臓や糖尿病の薬、降圧剤、コレステロールの薬のように
長期間に継続的に服用する先進国向けの薬の方が
はるかに利益になるのです。


風邪をひいただけで、
さまざまな薬が過剰に処方される日本では、
NTDsに苦しむ人々が
たくさんいて、
満足な治療薬すら与えてもらえないことを
知らない人も多いでしょう。


だからNTDsと呼ばれているのです。


特に日本は、島国ですから、
自分の国に関係しないことは無視する傾向があります。

報道がいい例です。
世界でどんなに重要なことが起きても、
日本人に関係がないことは一切報道されることはありません。

ルワンダで凄惨を極める民族大量虐殺がおこなわれていた時には、
日本の報道では
芸能人が密会したとかキスしたとかを
有識者たちが真剣な顔で議論している時間の方が
はるかに多く放映されました。


この図は、
左側が多くの人が考えている世界
右側が本当の世界の姿。

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「グローバルヘルス」(Global Health)という言葉があります。

いままでの考え方は、
「二国間」でした。(International Health)
感染国と援助国。

でも
新型インフルエンザや多剤耐性感染症を始め、
病気に国境がなくなってきたことから
世界的な視野に立って
感染症の蔓延を考えなければならない時代になったのです。


同じ地球の同胞が
苦しんでいるという事実。

それを知ることと
無視することでは大きな違いが生まれてきます。

魂に国境はありませんから。




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