この写真は、
帝王切開直後のお母さんと仔犬たちです。

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皆母子ともに元気です。 


まずは全員子宮から取り出されるまで待機です。
でも、こんなに大人しくしているのは
ほんの一瞬です。
あちこち這いまわります。
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これで全員揃いました。

帝王切開の麻酔は
直ちに覚めるため
すぐにお母さんと面会です。
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仔犬たちは、
生まれると直ちにお母さんのおっぱいを探します。


出生時は、
初乳を飲む準備のために
お腹が空いているのでしょう。

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お尻も可愛い。
両サイドは、赤ちゃんの頭です。
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出産直後のお母さんのおっぱいは
このように黄色く濃い母乳がでます。
これが新生仔にもっとも大切な
「初乳」です。
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皆一生懸命に飲みます。
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この母犬の場合には、
基礎体温が低下してから
出産期に入ったものの
陣痛が微弱で
24時間経過してから来院しました。




帝王切開の適応は、
子宮の収縮が十分でない場合、
胎仔の失位、
骨盤狭窄、
胎仔の死亡、
過大仔、
帝王切開犬種、
妊娠中毒症などで母体の容態が悪い場合、
子宮捻転
など

さまざまな理由があります。


ちなみに、
帝王切開の語源はラテン語の回復手術「sectio caesarea」に由来します。
日本では
切開という意味の「caesarea」を、
「caesar」(ローマ皇帝シーザー、帝王)と誤訳してしまったという話と
さらに
ドイツ語からの翻訳の時に、
切開手術「kaiserschnitt」を、「kaiser」「schnitt」に分けて訳し
「kaiser」を切開ではなく帝王と訳したという話があります。
どちらにしても同様の誤訳とも言えますが、
こうして日本では
帝王切開と呼ばれるようになりました。



帝王切開には
緊急帝王切開
予防的帝王切開があります。

北米のデータでは、
緊急帝王切開での仔犬死亡率は12.7%
予防的帝王切開では、3.6%
です。


海外での予防的帝王切開では
ブルドッグ、マスチフ、グレートデンなどの大型犬が多く
一方で
日本ではチワワなどの小型犬が多いです。


母体の体重と新生仔の 体重の比率でみると

中型から大型犬では、50~80:1
チワワなどの超小型犬では、20:1以上となり、
超小型犬種では、
自然分娩は困難になるかが推測できます。

特に胎仔が1頭しかいない場合には、
小さな母体に対して
かなりの大きさになることがあります。


難産の場合の陣痛促進剤による成功率は、
27%と低く
さらに
反復注射して様子を見た場合には
胎仔の死亡率が一気に上がるために
一回の投与で良い反応が見られなければ
帝王切開実施の判断を速やかに行う必要があります。


帝王切開の実施のタイミングと予後は

出産期開始から12時間以内であれば
基本的に母子ともに良好
12時間過ぎると
母体はまだ良好ですが、
新生仔の予後は要注意となります。

24時間以上経過すると
新生児は死亡していることが多くなり、
母体も危険な状態になることがあります。

もともと
犬は安産ですが、
超小型犬や陣痛微弱犬種などが流行し、
帝王切開の機会はいまだ多くあります。

帝王切開は
夜間になることも多いため
あらかじめ主治医の先生や
そこと提携する夜間救急病院などの連絡先を確認しておくとよいでしょう。
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こちらも
「ひかたま:犬の赤ちゃんの成長」

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