アメリカ先住民族の存続を脅かす
ダコタの石油パイプライン「ダコタ・アクセス・パイプライン」。

先住民スタンディングロック・スー族の居留地の命綱である水源を
パピプラインが通過するために
長い間の抗議デモを続けてきました。

スー族に賛同して、
300以上のアメリカ先住民部族をはじめ
世界各国の市民やさまざまな団体が
抗議活動を支援してきました。。


ひかたま:いまだに迫害されるアメリカ先住民族たち


ひかたま:物理的な力や権力よりも強いもの


そしてついに
連邦当局がルート変更など建設の見直しを表明。

スー族や支援者らは歴史的な勝利を勝ち取りました。

勝利を祝う花火。
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この勝利によって
スー族の支援者らは、
次は
フリントだ!と宣言しています。

kkhuffingtonpost.com




白人の町フリントの話は
以前このブログでも書きました。
 


アメリカ・ミシガン州フリントという人口約10万人の町で 
水道水が汚染されていました。
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事の発端は、
行政当局が経費削減するために
デトロイトから購入していた水を、
地元のフリント川の水へと切り替えたことから始まります。


フリント川の水は、
強い腐食性があり、古い水道管を傷つけて、
水道水に鉛が溶け込んでいきました。

水源を切り替えてから、
地元住民の体調不良が相次ぎ
髪の毛の脱毛や
皮膚病の多発
そして、
思考能力にも影響が出始め
地域全体での知能指数の低下
など
多くの弊害が出始めました。


住民の訴えにも関わらず
ミシガン州当局はこの問題を無視。

フリントの住民が、
行政に訴えたのですが、問題なしとの回答しか得られないため
バージニア工科大学のマーク・エドワーズ教授に相談をしました。

エドワーズ教授は
さっそく調査チームを作り、
フリント川の水質調査を実施、
調査結果を発表しました。


その結果は、
水の汚染され、飲用危険なものでした。


エドワーズ教授が動かなければ、
おそらくもっと長い期間に渡り、
この事実が隠蔽されていたことでしょう。

子供の鉛中毒による脳の損傷は、
回復が困難なのです。
早く対処できたことは
本当に福音でした。


問題は、
エドワーズ教授は、
この水質調査に6,000時間以上を費やした上に
経費およそ180,917ドルも費やしたこと。


この調査に国立科学財団から3万2843ドルの資金援助はあったものの、
教授が負担した金額は、
1,700万円にもなってしまいました。

地域住民の救世主となった教授は、
「私たちが被害を最小限にとどめたことを考えれば、
費用などたいした問題ではない。
この調査研究を通して、社会に貢献できた。」

と述べています。

そして、
この問題は、
最終的にオバマ大統領によって
ミシガン州に非常事態宣言が出され、
水道水の改善は公的資金で支援することになりました。

さらに現時点(2016年2月)でも調査委員会が設置され、
関わった役人たちが逮捕される可能性も出てきました。

flintydetroitnews.com



 


このエドワーズ教授、
以前にもワシントンD.C.の水道水の水質調査を実施した際に、
この調査費用を捻出するために
教授自身の家を抵当に入れて借金したお金でまかなっていたのです。


まさに救世主。

今回の件でも、
住民たちの健康と引き換えに
大きな負債を抱えてしまった教授のために、
インターネット上で
寄付を募っています。
現時点では目標額の15万ドルの半分以上の8万ドルが集まっています。

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でも、
安心安全な水をすべての人に確保できたわけではありません。





そして
全米各地でも
この鉛のパイプは使われています。
アメリカ合衆国環境保護庁の推定では
およそ一千万人の人々が全くその存在すら知らずに
飲み続けていることになります。

政府も無視する理由は、
お金の問題です。
改善するためには
巨額のお金が必要なのです。
 It would cost billions of dollars to replace them. 



さらに先住民の場合には。


現在
アメリカ先住民ナバホ族も
長い年月に渡って
水の汚染に苦しんでいます。


でも、
どこからも無視されたまま。


navajp2 Naturalnews.com

アメリカ合衆国政府は、
先住民の土地を理不尽に奪い取っただけでなく、
いまだに
虐げているのです。


フリントの成功例と違い、
先住民の汚染水問題は
もう
すでに
数十年も戦っています。



ナバホ族の利用する水は
長い間 ウラン鉱山の汚染に苦しんできました。


それは、
フリントの例よりも
遥かに
重篤。

1940年代のウランの需要急増に伴い、
ナバホ族の住む地域には、多くのウラン鉱山が作られました。

ナバホ族の居住地は、
アリゾナ州、ニューメキシコ州、コロラド州、ユタ州の四つの州にかけての地域になります。
そこには
1,300のウラン鉱山とウラン精錬所が作られたのです。


その後、核燃料需要は激減して、
鉱山は放棄され、
充分な除染作業もされないまま
持続する環境汚染だけが残されたのです。
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高濃度の放射線物質で汚染されたまま、
周辺にすむ先住民たちは、
健康状態が悪化していきました。

放射能に汚染された水を飲み、
放射能に汚染された草を食べた家畜の肉を食べ、
放射能に汚染された土地の土埃を吸いこみ、
放射能汚染された資材を使って作った家で暮らし、
子供たちは汚染された土で遊び、
人々は、
次々と
病気になっているのが現状です。


でも、
誰も気に留めなかったのです。

それは彼らが
先住民だから。

多くの人々が、
癌や慢性疾患を患ったと言われています。

でも、
先住民族だから、ちゃんとした被害統計は存在しないのです。


2007年には、
米国政府は、月に二回汚染されていない水を届けるようになりましたが、
決して十分な保護政策とはかけ離れた形だけのもの。


このナバホ族の現状を知ってもらうために
ロサンジェルスタイムズは、
Blighted Homelandという特集を組みました。

PART1からPART4まであります。

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Part 1は、
スライドシューのバックに、ナバホ族のミュージシャンが歌う「黄色い砂」という歌が流れます。
放射能に汚染された土ぼこりの歌です。
Part 2 は、
放射能に汚染された水を飲むナバホ族の人々の現状が紹介されています。
Part 3は、
ナバホのコミュニティでの、除染作業の現状。
Part 4は、
ウラニウムの価格高騰によって再びナバホの地のウラニウムを利用しようとする話。





そして
2015年にはゴールドキング鉱山から
大量の汚染物質を川に排出したことから
ようやく
マスコミにも大きく取り上げられるようになったのです。

砒素や鉛などの生体に有害な重金属を含む汚染水を、
鉱山から川へ
大量に流したのです。

写真の左側が排水前
右側が排水後です。
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州の公園野生生物保護当局は、
陸上に生息する野生生物への影響は最小限だろうと予測。

でも
コロラド州知事は、
非常事態を宣言しています。


それでも、

「ナバホ族の水は、フリントよりも悲惨、でも彼らはネイティブアメリカンだから誰も気にしない」
この記事のタイトル通り、
いまだ世間の関心はとても薄いです。


navaho thefreethoughtproject.com


現在米国のウラン鉱山は
15,000ヵ所以上あります。

ナバホ族は立ち上がりました。

navajo_uranium_protest-dc- indiancountrytodaymedianetwork.com


日本が使うウランは、
オーストラリアの聖地から採掘したものです。

オーストラリアの先住民族アボリジニの人たちは、
猛反対しました。

でもオーストラリア政府の判断によって
採掘は続行になりました。

先住民族は言います。
「ウラン採掘をやめなさい。

採掘されたウランによって
世界に毒を拡散させる原発が作られる。

採掘されたウランによって
核兵器が拡がってしまう。

だから、
ウランは大地にそっとしておくのが一番だ。
そうすれば災いは起こらない。

これ以上、
この聖なる地を、
我々の土地を、
母なる大地を傷つけないで欲しい。」



私たちが日本で稼働させる原発のために、
地球が
大地が
ウラン鉱山周辺に住む人々も
動物も
植物も
犠牲になるのです。

そこまでの犠牲を払って、
過剰な電気の使用を続けてもいいのでしょうか。

2011年には、
ほんのわずかな時間だけ
自粛ムードになりました。

でもそれは、うわべだけのもの。

「のど元過ぎれば
熱さを忘れる。」

ということわざがあります。

どんなに苦しいことを経験しても、時が経つと忘れてしまうという意味。
また、
困ったときに人から受けた恩も、時が経つと恩知らずになってしまう時にも使います。

節電も、自粛も
心からのものでなければ、
よりよい未来へ直結しにくいのです。


このような問題は、
もっと多くの人が関心を寄せてもいいのにな
と思います。


今回のダコタパイプラインの勝利をきっかけに
多くの地区でも
安全な水が確保できるようになることを祈っています。


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