猫の慢性腎不全の新しい薬が
2017年4月に発売されます。


慢性腎不全は、
高齢猫の病気で最も多く、
 
15歳以上の猫の81~90%が
慢性腎不全と評価されています。 

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今回の新薬は
東レが
2017年1月13日付で
猫の慢性腎臓病治療薬としての製造販売承認を取得 した
「ラプロス」という薬です。

日本国内で
「腎機能低下の抑制」
を効能効果として承認を取得した薬剤はラプロスが初めてになります。


いままでも
猫の慢性腎不全の薬はいろいろ使われています。

アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬ARBやACE阻害薬などの腎不全治療薬や
経口吸着剤や乳酸菌製剤、
各種サプリメント
メディカルハーブ
ホモトキシコロジー
ホメオパシー

などがあります。

これらを
猫ちゃんの状態に合わせて
上手く組み合わせて治療することで
大幅に寿命を延ばすことができます。



それに
今回の新薬が加わることになります。




ラプロス錠は、
ベラプロストナトリウムを有効成分とする
経口プロスタサイクリン製剤です。
1錠中にベラプロストナトリウムが55μg含有されています。


主な作用として
血管内皮細胞保護作用、
血管拡張作用、
炎症性サイトカイン産生抑制作用
抗血小板作用

などが知られています。


これらの薬理作用によって
腎臓の虚血と低酸素状態を改善させると考えられていて、

それによって
腎機能の低下を抑制して
臨床症状の改善が期待できます。


この薬は
猫の慢性腎臓病で
腎臓病の指標であるIRISステージ2~3に適用されます。

IRISステージとは
IRIS(International Renal Interest Society)という組織が提唱している
猫の腎臓病の病期分類表です。


ステージ分類は
次のようなものです。

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これと同じ成分の薬は
すでに
いくつか人体薬として発売されています。

「ドルナー錠」は
ベラプロストナトリウムが20μgの製剤です。

慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善
原発性肺高血圧症
に使われています。

出血している場合と妊娠中には使用できません。

月経期間中の患者には慎重投与が必要となります。

慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善での使用では
総症例7,515例中、370例(4.9%)に副作用が認められています。
原発性肺高血圧症での使用では
臨床試験において総症例40例中、24例(60.0%)に副作用が認められています。


「ケアロードLA錠」は
ベラプロストナトリウム徐放錠です。
ベラプロストナトリウムが60μgの製剤です。

 肺動脈性肺高血圧症に適用されています。

やはり 
出血している場合と妊娠中には使用できません。

原発性肺高血圧症及び膠原病に伴う肺高血圧症患者を対象とした臨床試験においては
総症例46例中、45例(97.8%)に副作用が認められました。




現在までのところ
猫のラプラス錠では
副作用報告はまだ明らかにされていません。


詳細な臨床治験データも
まもなく公表されるでしょう。


新薬は
発売してしばらく時間が経ないと
その効能や副作用については
わからないものです。

念のために
定期的な腎機能検査や
やはり高齢猫に多発して血圧を上昇させる
甲状腺機能亢進症の検査などは行っておいた方がよいと思います。


この薬のように
猫の慢性腎不全の進行を抑制する薬がでてくることは
とても好ましいことです。



AIM製剤も近いうちに
臨床試験に入るものと思われます。
ひかたま:猫に朗報:猫の寿命が大幅に伸びる可能性がでてきました。

腎不全の原因の可能性もあるモルビリウイルスについても
さらに研究が進むことでしょう。
ひかたま:猫モルビリウイルス感染症



猫では
慢性腎不全が克服できれば、
寿命は格段に長くなるかもしれません。


愛する猫たちには
一日でも長く
元気に健康に生きてほしいですね。



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