最近日本ではがんになる人が増えています。
これは
欧米でがんになる人が減っているのとは対照的です。


特に、
前立腺がんは日本人男性でもっとも罹患者数の多いがんになっています。


zenritusen1hitachi-medical.or.jp

国立がん研究センターの推計では、
患者数が急激に増えているのがわかります。


il_gan2出典:鳥居泌尿器科・内科

ただし、
前立腺がんの患者数が増えたことには
前立腺がん自体が増えたことの他にも

「PSA検診」の普及によって
診断精度が上がったことも原因の一つになっています。


PSA検診は
Prostate Specific Antigen(プロステート スペシフィック アンチゲン):前立腺特異抗原の血中濃度を調べる検査です。

このPSAは、
精液の液状化に関係している物質ですが、
前立腺がん細胞からも産生され、
血液中に漏出するPSAの量が急激に増加することがわかっているため、
前立腺がんの診断に使用されます


PSA検査が2000年代頃から普及したことで、
早期の前立腺がんと診断される人は急増してきました。
いままで見つけることが困難だった早期のがんが発見されるようになったからです。

ただしこのPSA値は
個人差がとても大きく、
PSAの数値が高い男性の多くは、前立腺がんではないために
誤診につながる怖れがあるとして
チュージングワイズリーでも懸念しています。

年齢やPSA値にもよって判断が必要ですが、
PSAの数値が高い人の中で、前立腺がんなのは25%以下と言われています。

特に次のような場合にも高値になります。
良性前立腺肥大
前立腺に感染がある場合
直近に性交渉した場合
直近に長時間自転車やバイクに乗った場合
など。 

また、
数値によっては進行度合いの判定ができません。

55歳から69歳の男性1000人に対してPSA 検査を定期的に行った場合、
前立腺がんによる死亡者は1人しか減らすことができないという研究結果も報告されています。

前立腺がん発症のリスクが低い男性に対して行うPSA検査によって、
余命を延ばすことが出来るという十分な根拠はなかったのです。



PSA値が高い場合
直腸の壁から前立腺に向けて細い針を刺し、
前立腺組織を採取する生検が行われてしまう場合もあるのです。






ラテントがん
というものがあります。
これは、潜在的ながんという意味で、
がんであるけれども症状がなく、
死後の剖検時に偶然見つかるがんのことをさします。

前立腺がんには
治療しなくても、一生涯全く問題の無いラテントがんが2割以上はあると推測されています。


問題は、
一生問題の無いラテントがんでも
前立腺がんと診断されてしまったことによって
不必要かつ有害無益な治療を受ける人が出る可能性があることです。

経過観察しても問題の無い前立腺がんでも
過剰治療によって
尿失禁や勃起不全などの副作用に苦しむ場合もあります。
心臓発作や深部静脈血栓、肺塞栓症といった重度の合併症も報告されています。


でも、
現代医学では、
どのがんがラテントがんで
どのがんが侵襲性の強いがんになっていくのかの
初期段階においては明確な区別ができません。


早期の前立腺がんでは定期的に検査をして、
「経過観察」を行い、
進行する場合だけ治療をするという選択肢もあるのですが、
「念のため」に本当は不要な治療を受ける人も少なくないはずです。


まずは、
がんと診断されても
あわてず冷静に
医師の説明をよく聞き、よく相談することから始めましょう。



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