カスピ海

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カスピ海は
ロシア、
アゼルバイジャン共和国、
イラン、
トルクメニスタン、
カザフスタン
の5か国に面している世界最大の湖ですが、
このたび実質上「海」とされることになりました。

caspian_seancr-iran.org



日本の面積は、377,972km2
カスピ海の面積は、371,000km2
ほぼ同じ大きさです。



カスピ海は、
海とは直接繋がっていないことから、
地理的には「湖」とされてきました。


湖には国際法はなく
海には「国連海洋法条約」というものがあります。


そのため、

とする場合は、
湖の資源は「共有財産」とされ、
湖の沿岸部以外は沿岸各国に共有されます。

下の図の緑の部分が共有財産です。

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とする場合は、
国連海洋法条約に基づき
「排他的経済水域」が設定されます。
つまり
沿岸線の長さに応じて領海が決められてしまうため、
五か国の中でも

沿岸線が短いイランはとても大きな不利益を被ります。


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そのため
「海」として認定したい4か国

「湖」として維持したいイランが
長年にわたって対立していました。


この対立の背景には
カスピ海が実は石油や天然ガスが豊富に埋蔵されていることがあります。
原油500億バレル、
天然ガス8兆4000億立方メートルという膨大なもの。

しかも
湖底に眠る天然資源は、
カスピ海の
北部や中央部に豊富で、
イランに近い南部では乏しいのです。


つまり
カスピ海が海と認識されれば
イランは大きな財産を手離すことになってしまいます。




昔は
カスピ海は湖とされ
1991年にソ連が崩壊するまでは、
ソ連とイラン両国の共有財産として
資源を半分ずつ分けてきました。

ところが、
ソ連崩壊に伴い、
カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンが新国家として誕生し、
それぞれが権利を主張しはじめたことから
問題が複雑化したのです。

そして
1996年から
沿岸5ケ国はカスピ海の権益をめぐって協議、論争を
繰り返し行ってきました。

当初はイランは、
強気の姿勢で
今まで通り50%の権利を要求していたのです。



ところが
今回
イランの突然の驚くべき譲歩によって
カスピ海は「海」として扱い
イランは膨大な天然資源を手離すことで合意するかもしれません。


この一見
自虐的な決断に対して
イラン国内では厳しい意見ばかりで
「ロウハニ政権は、外国にカスピ海を売った裏切り者だ」
「大きな屈辱的行為」
と大炎上しています。



今回のイランの苦渋の決断は、
米国からの制裁や
すべて破壊されつくしたインフラや
紛争によって疲れ果てた国民たちなど
国力を失っているという苦境下において
イランの味方になってくれる大国ロシアとの友好関係を強化するために
必要と判断したためと思われます。


国同士の関係には
表には決して出ることのない、
どうにもならないほど大きな力関係というものが
働いています。


それは
日本と他の国の関係においても
例外ではありません。




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