猫の甲状腺機能亢進症

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猫の甲状腺機能亢進症は、
高齢の猫にはとても多い疾患です。

そして
糖尿病と共に
猫の代表的な内分泌疾患になっています。

最近
動物たちの甲状腺疾患が明らかに増加しているように思います。

猫も寿命の延長に伴って
甲状腺機能亢進症が増えているので
猫を飼っている人に
わかりやすくまとめてみました。



猫の甲状腺機能亢進症は、
国や地域によっても発病率が異なるという
内分泌疾患の中ではユニークなものです。

おそらくは
その土地におけるヨウ素をはじめとする微量元素の含有量が異なるためと
推測されていますが、
真の要因はまだ解明されていません。

一般的には
北米やEU諸国では罹患率は高く
アジア諸国では罹患率は比較的低めとされています。

でも、
最近は日本では甲状腺疾患の罹患率は年々高くなっているように思います。




猫の甲状腺機能亢進症の主な原因は
甲状腺腺腫、
結節性過形成
甲状腺がん(2%以下)
があります。

これも国によって違いがあります。
北米では、両側性の甲状腺結節性過形成や腺腫が多く
日本では、片側性の甲状腺腫が多めの傾向があります。



これらの甲状腺の状態の変化によって
甲状腺ホルモンの分泌が過剰になることにより
さまざまな症状が発現していきます。

猫は
本来は捕食動物であり、
高齢になっても獲物を捕まえないと食べられない状況で生きてきた動物なので
加齢による体の機能の衰えを補うために
甲状腺ホルモンが過剰になりやすいことも理解できます。

それに加えて
室内での生活によるさまざまな化学物質への暴露も
発症要因の一つとして挙げられています。




甲状腺ホルモンが多く出ると
食欲が増し、元気が出て、より動けるようになるのです。


ただ、それも多すぎると
次のような症状が出てきます。

体重減少と脱水
食欲亢進
元気が出すぎて興奮する
多動になる
暑がる
攻撃性が増す
被毛の艶が無くなる
過剰な毛舐め
元気がなくなる
嘔吐や軟便
水を多く飲む
など。


どの症状も
「高齢なのに元気良すぎて」
とか
「高齢だからかな」というような症状です。


そして最も怖い甲状腺機能亢進症の急性症状
「甲状腺クリーゼ」というものがあります。

甲状腺クリーゼは、
急性甲状腺中毒で、
甲状腺機能亢進症を持っている猫が
急激な興奮や緊張をきっかけに発病することが多い緊急の状態です。

交感神経の過剰な興奮によって引き起こされる
心臓血管系の異常によって
突然の虚脱
頻脈や不整脈
開口呼吸、
失神、
突然の失明
などを引き起こし
死亡の原因にもなります。



甲状腺機能亢進症の診断は
基本的に血液検査による総サイロキシン濃度(T4)によって
確認できます。

また臨床症状から強く甲状腺機能亢進症が疑われるにもかかわらず
T4が正常値の場合には
さらに詳しいホルモン検査も準備されています。



ここで確定診断がなされたら、
X線検査や超音波検査などを使って
さらに全身状態の把握を行います。

特に
この病気は高齢の猫で多いことから
やはり
高齢猫の宿命ともいえる慢性腎不全になっている可能性が高いので、
同時に評価が必要です。


慢性腎不全の評価に
クレアチニン(CRE)が使われますが、
甲状腺機能亢進症の猫においては
筋肉量が減少し、腎臓への血液供給の増加によってクレアチニン排泄が増加していることから
慢性腎不全においても
クレアチニン値が正常値を示すことがよくあります。

そのため
BUN、CRE、SDMAを測定し
さらに
超音波検査で確認することが
よりよい治療につながります。


治療は
猫の総合的な状態を把握したうえで
慎重に行っていきます。

基本的には、
安全性が高く効果的な内服薬での治療がスタンダードです。
比較的低用量からゆっくりと治療を始めていきます。
効き目は2週間後くらいから出てきます。
この薬は、甲状腺ホルモンの産生を抑えるものであり、
すでに血中にあるホルモンには作用しないからです。
ある程度安定してきた時点で
血液検査を実施します。


そのほかにも
注射(これは毎日になるのでたいへんです)
食事療法(かなり厳格な食事療法です。一生決まった食事だけになります。最初はよく食べてくれる猫でも、甲状腺ホルモンのレベルが下がってくると食べなくなることもよく見られます)
自然療法(各種治療法があり、体質によって効果はさまざまです)、
外科手術(高齢なので慎重に選択します。また外科手術後も、異所性甲状腺や第三の甲状腺を持つ場合には効果はありません。また術後の合併症も起こることがあり、手術をしても一生に渡り、投薬が必要になる場合もあります。)
などの選択肢もあります。



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