犬にも椎間板ヘルニアがあります。
特に
日本でブームとなったミニダックスでは
椎間板ヘルニアが多く見られます。
椎間板は、脊椎と脊椎の間にある柔らかい組織で、
脊椎骨の間のクッションのような役割をしています。
この椎間板が、
何らかの原因で脊椎間から脊髄が通る内腔へと逸脱し、
脊髄神経を圧迫してしまった状態が「椎間板ヘルニア」です。
椎間板ヘルニアの症状は、
ヘルニアが発生した部位と程度により症状は異なりますが、
一般的に後肢に麻痺が発生し、歩行困難になったり、排泄のコントロールができなくなったりします。
実は
その陰で
お腹の痛みや消化器症状が出ている場合も多く見られます。
実は
椎間板ヘルニアと膵炎が関係していたのです。

この椎間板ヘルニアは多いものの
膵炎との関係はほとんど知られていません。
米国メリーランド州とカリフォルニア州の救急センターとテキサス A&M大学が共同で
椎間板ヘルニアと膵炎の関係を調査しています。
調査対象は
椎間板ヘルニアと診断された犬84頭
健康な犬18頭
です。
来院直後(90分以内)に採血をして
膵炎のマーカーであるSpec-cPLI(膵臓特異的リパーゼ)を測定、
種類・性別・年齢、
ヘルニアの部位、治療薬(ステロイドやNSAID(非ステロイド薬)
を詳細に解析しました。
その結果、
椎間板ヘルニアの犬では、
約半数の犬で
膵炎マーカーが有意に上昇していることが観察されました。
この上昇は、症状が出ている期間は異常値を示し、
Spec-cPLIと ヘルニアの部位や治療薬投与との関連性は認められませんでした。
インタ-ネット上では
ステロイドが膵炎を誘発するような記述が見られますが、
実際には数十年前の症例報告の他にはエビデンスとなるものはほとんどなく、
科学的な根拠に乏しいまま定説化した情報でした。
現在では
ステロイドと膵炎発症はあまり関連がないとされています。
2009年の研究では、
高容量のステロイドの4週間にわたる連続投与した犬で検証され、
Spec-cPLIに大きな影響が無かったとする結果が出ています。
また
2014年の研究では
副腎皮質機能亢進症の一部の犬において
Spec-cPLIの上昇が確認された研究もありましたが
膵炎の症状は認められませんでした。
さらに
膵炎初期にステロイドを使ったグループは、
使わなかったグループと比較して
治療の反応や回復が良好だったとする論文も出ています。
なので、
椎間板ヘルニアの治療において
主治医の先生がステロイドを使用しても
心配しないようにしてください。
最初の検証結果からは、
椎間板ヘルニアでは、
ヘルニア特有の症状が出ている間は
膵炎が起こりやすい または起こっている可能性がある
ということを示しています。
椎間板ヘルニアで背中が痛いので、
膵炎のお腹の痛みがわかりにくいということがあります。
椎間板ヘルニアで来院する犬の中には
消化器症状を呈する例も少なくありません。
椎間板ヘルニアになった場合には
大事に至る前に
合併症として膵炎の検査もした方が良いということになります。
椎間板ヘルニアが膵炎を引き起こす詳細なメカニズムは解明されていません。
膵炎の発生機序として解明されているものは、
血流障害、膵腺房細胞の障害、腺房細胞内の酵素前駆体の流出障害であることから推測すると、
椎間板ヘルニアによる脊髄障害によって
自律神経の不均衡が起こることで膵臓の血流が変化すること
が関与しているのかもしれません。
今日もありがとうございます。
ブログランキング参加しています。
応援クリックお願いします。

人気ブログランキング
特に
日本でブームとなったミニダックスでは
椎間板ヘルニアが多く見られます。
椎間板は、脊椎と脊椎の間にある柔らかい組織で、
脊椎骨の間のクッションのような役割をしています。
この椎間板が、
何らかの原因で脊椎間から脊髄が通る内腔へと逸脱し、
脊髄神経を圧迫してしまった状態が「椎間板ヘルニア」です。
椎間板ヘルニアの症状は、
ヘルニアが発生した部位と程度により症状は異なりますが、
一般的に後肢に麻痺が発生し、歩行困難になったり、排泄のコントロールができなくなったりします。
実は
その陰で
お腹の痛みや消化器症状が出ている場合も多く見られます。
実は
椎間板ヘルニアと膵炎が関係していたのです。

この椎間板ヘルニアは多いものの
膵炎との関係はほとんど知られていません。
米国メリーランド州とカリフォルニア州の救急センターとテキサス A&M大学が共同で
椎間板ヘルニアと膵炎の関係を調査しています。
調査対象は
椎間板ヘルニアと診断された犬84頭
健康な犬18頭
です。
来院直後(90分以内)に採血をして
膵炎のマーカーであるSpec-cPLI(膵臓特異的リパーゼ)を測定、
種類・性別・年齢、
ヘルニアの部位、治療薬(ステロイドやNSAID(非ステロイド薬)
を詳細に解析しました。
その結果、
椎間板ヘルニアの犬では、
約半数の犬で
膵炎マーカーが有意に上昇していることが観察されました。
この上昇は、症状が出ている期間は異常値を示し、
Spec-cPLIと ヘルニアの部位や治療薬投与との関連性は認められませんでした。
インタ-ネット上では
ステロイドが膵炎を誘発するような記述が見られますが、
実際には数十年前の症例報告の他にはエビデンスとなるものはほとんどなく、
科学的な根拠に乏しいまま定説化した情報でした。
現在では
ステロイドと膵炎発症はあまり関連がないとされています。
2009年の研究では、
高容量のステロイドの4週間にわたる連続投与した犬で検証され、
Spec-cPLIに大きな影響が無かったとする結果が出ています。
また
2014年の研究では
副腎皮質機能亢進症の一部の犬において
Spec-cPLIの上昇が確認された研究もありましたが
膵炎の症状は認められませんでした。
さらに
膵炎初期にステロイドを使ったグループは、
使わなかったグループと比較して
治療の反応や回復が良好だったとする論文も出ています。
なので、
椎間板ヘルニアの治療において
主治医の先生がステロイドを使用しても
心配しないようにしてください。
最初の検証結果からは、
椎間板ヘルニアでは、
ヘルニア特有の症状が出ている間は
膵炎が起こりやすい または起こっている可能性がある
ということを示しています。
椎間板ヘルニアで背中が痛いので、
膵炎のお腹の痛みがわかりにくいということがあります。
椎間板ヘルニアで来院する犬の中には
消化器症状を呈する例も少なくありません。
椎間板ヘルニアになった場合には
大事に至る前に
合併症として膵炎の検査もした方が良いということになります。
椎間板ヘルニアが膵炎を引き起こす詳細なメカニズムは解明されていません。
膵炎の発生機序として解明されているものは、
血流障害、膵腺房細胞の障害、腺房細胞内の酵素前駆体の流出障害であることから推測すると、
椎間板ヘルニアによる脊髄障害によって
自律神経の不均衡が起こることで膵臓の血流が変化すること
が関与しているのかもしれません。
今日もありがとうございます。
ブログランキング参加しています。
応援クリックお願いします。
人気ブログランキング
森井 啓二
ガイアブックス
2016-07-26
コメント
コメント一覧
NSAIDという非ステロイド剤の影響かなと思っていました。主治医の先生はダックスはどちらの病気もなりやすいからとの説明でした。
体はあちこち繋がっているのですね。