以前も
プロサッカー選手と認知症について書きました。

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ひかたま:サッカーと認知症の因果関係

まずは
過去ブログからの抜粋をもう一度載せておきます。

ロンドン大学とカーディフ大学の共同研究チームは
プロサッカー選手5名とアマチュア選手1名を対象に、
死後の検死を実施しています。

対象のサッカー選手たちは
すべて60歳代で認知症を発症して
亡くなっていました。

解剖の結果
すべての選手において
認知症の一種であるアルツハイマー病の兆候が認められました。

さらに
6人中4人の脳には、
慢性外傷性脳症の診断が下されました。

この疾患の患者は、
外傷を受けてから数年から数十年経って、
記憶力の低下、攻撃性の増加、精神的混乱、抑うつ状態などの認知症症状を呈すると言われています。


今回の研究では、
少人数の解剖結果に基づいているために
ヘディングと認知症との因果関係を確定できたとはいえませんが、
今後さらに長期間に及ぶ大規模な調査が必要でしょう。




スターリング大学では
サッカーのヘディングの短期的な影響を調べる実験を行っています。
19名の選手にそれぞれ20回のヘディングを行ってもらい、
その後に脳機能と記憶能力をテストしています。

その結果、
ヘッディング後には、脳機能は41~67%減少していました。
これは短期的な影響の研究であり、
長期的にヘディングを続けた場合どうなるのかは
わかっていません。

慢性外傷性脳症の症状は、
発現するまでに数十年かかることもあるからです。




元イングランド代表FWのジェフ・アストル氏が
2002年に重度の認知障害の末に亡くなりました。

彼の死因について、
医師は「現役時代のヘディングによって引き起こされた慢性的な外傷性脳障害」と診断しています。

アストル氏の娘ドーンさんの証言では、
英国のサッカー界は
この事実と因果関係を隠ぺいしようとしたそうです。

「名選手の家族たちが勇気を持って脳障害の事実を公表しはじめています。
さらにそれは、有名選手だけではなく、多くの選手の家族からの訴えも受け取っています。
悲しいことに、これらは巨大な氷山の一角にすぎないと思います。
本当はサッカーが認知症の原因ではないことを願っていましたが、
残念ながらそれが事実であるようです。」


イングランドサッカー協会は、
2015年になってこの件が大きく報道されてから
ようやく
アストル氏の遺族らによる訴えを受け入れました。



英国でも少年サッカーでのヘディングを禁止する方向で検討されています。

ちなみに
アメリカサッカー協会では、
すでに
10歳以下の子供のヘディングは禁止されています。
さらに13歳までの選手のヘディングの練習には制限が設けられています。
これは
脳に障害を負ってしまった子供の裁判がきっかけになりました。



そして今回
新しい論文でも
サッカー選手が認知症になりやすいという科学的エビデンスが明らかになり、
ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載されました。

njjncbi.nlm.nih.gov




この研究では
1900~76年に生まれた元プロサッカー選手7,676人と
元プロサッカー選手と条件の似ている一般人2万3,028人を対象に、
およそ18年かけて
神経変性疾患による死亡率を検討しています。

結果は、

元プロサッカー選手は
一般人と比べて、
神経変性疾患による死亡率は高いことが確認されました。

ただし、
身体は優れていて
脳神経以外の一般的な疾患による死亡率は低く
平均寿命も長いことも確認されました。


スポーツは
心身にとって有益な面と有害な面が共存しています。

有害な面となる因子を特定して
すべて有益なものへと変えていくことは
大切だと思います。





こちらも

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