ヤマアラシ


背中と脇の一部に鋭い針毛（トゲ）を持つ
草食性のげっ歯類です。

硬く鋭い針毛（トゲ）は
天敵から身を守るためのものです。

このヤマアラシは、
その胃袋にある胃石を採取するためだけに
多数殺されています。





胃石は、
「ベゾアール」と呼ばれ、
数多くの地域で
お守りとして
幸運を呼び込む石として
人間が勝手な付加価値をつけてしまいました。


また
砕いて服用すると
解毒やがんの治癒につながるとして
人気が出て、
需要が急増しました。



映画「ハリー・ポッターと謎のプリンス」の中でも
毒を飲まされた友人にベゾアールを飲ませるシーンが出てきます。


人間が勝手につけた価値によって
胃石の販売価格は急騰し、
たった1グラムで、数十ドル～数百ドルの値がついています。


特に
深紅の「血の色」をした胃石は、
最も薬効が高いと信じられて、
高価な価格がついています。


胃石は
すべてのヤマアラシが持っているものではなく、
10頭中たったの1頭が持っている程度です。



密猟者たちは
まるで宝探しのように
片っ端からヤマアラシたちを殺して、
お腹を裂いて、
胃石を探します。



インターネットの普及によって
ヤマアラシの胃石の宣伝はエスカレートして
「がんだけでなく、あらゆる病気に効く奇跡の薬」として
売り出されています。


いままで
購入することができなかった人たちまで、
自宅にいながら
クリック一つで簡単に購入できてしまうために
無差別な殺戮が横行してしまっているのです。


現在
ヤマアラシは充分な保護を受けていません。

個体数が、
絶滅に近づかないと
誰も保護しようとしないのです。



イクラやカニなどに
フェイク商品が作られ、普通にスーパーでも売られるようになりました。

サイの角もフェイク品が作られています。

ヤマアラシの胃石も
そのへんに落ちている石で代用してもらって十分です。

石ころでも
高価なヤマアラシの胃石だと信じて飲めば
薬効はたいして変わりません。






多くの生き物が
人の欲望の犠牲になっていることは
あまり知られていません。


でも
私たちには
知る権利ではなく
知るべき義務があります。



絶滅させてしまってから
知って
かわいそうなどと同情しても
見殺しにしているのと
たいして変わりません。



こちらも
ひかたま：コーラ伝説：胃石治療薬コカコーラ
ひかたま：胃の中の石



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