追い込み漁で捕獲したイルカの水族館での飼育と展示をめぐり、
世界動物園水族館協会(WAZA)が内部の倫理規範に違反するとして、
日本動物園水族館協会(JAZA)に改善・除名通告を行っていた問題に決着がつきました。
JAZAは20日に、WAZA加盟継続の賛否を問う会員投票を行い、
JAZA加盟の動物園と水族館全152施設中で
有効投票142票中、「残留」が99票、「離脱」が43票。
WAZA残留の投票多数という結論です。
これでJAZAに加盟している各施設は今後、
追い込み漁で捕獲したイルカの入手をやめることになります。
ここでは追い込み漁の是非ではなく、
水族館でのイルカ飼育に焦点を当ててみます。

海洋哺乳動物の水族館での飼育に関しては、
以前このブログのオルカ問題でも紹介しました。
イルカの保護の記事を書くと、残念ながら、
ほとんどの日本人がイルカに対しては批判的なコメントになってしまいます。
Twitterでイルカ保護を訴えた時も、賛同は無く、ほとんどがイルカ保護に対する批判でした。
批判は「日本の伝統を邪魔するのか」「牛や豚を殺してるのに、イルカだけ何故特別扱いするのか」
といった内容が多く寄せられます。
テレビでも、イルカの捕獲は日本の伝統、飼育は正当であり、他国の言いがかりが悪いと言う立場での報道がほとんどでした。
でも、
このブログではイルカ保護の立場は変わりません。
以前紹介したオルカの話に戻りますが、
野生で捕獲して、水族館に収容したオルカたちは、たった数か月から数年で亡くなってしまう個体が多いのです。
米国の研究報告では、約5年でした。
野生の寿命の10分の1。
ほとんどの個体が若いうちに死亡します。
そのため、
オルカを水族館で展示する限り、野生の個体を拉致し続けるしかないのです。
米国では元従業員の内部告発により、水族館のオルカは、薬漬けにされていることがわかっています。
抗生物質
抗潰瘍治療薬
向精神薬
鎮静薬
経口避妊薬
その他にも脱水を防ぐ目的でエサに大量のゼラチンを混ぜたり、
エサの魚には抗真菌薬をあらかじめ混入しています。
日本ではどうなのでしょうか?
国連では、 2007 年と2008 年を「国際イルカ年」と宣言し、世界中のイルカを対象に保護活動を行ってきました。
「国際イルカ年」では、イルカを「生きている宝」と表現しました。
インドでは、海洋哺乳類クジラ目の動物を知能が高い生き物「人類ではない人」と公式に認めました。
イルカやクジラは、人に準じる権利、生命と自由の権利は尊重されなければならないとして、
これらの動物を飼育するインド国内のドルフィンパークをすべて閉鎖するように命じました。
他国でも同様にイルカを尊重しはじめています。
一部例を上げると、(エルザ自然保護の会資料参照)
オーストラリアではすべてのイルカとクジラの展示を禁止。
ニュージーランドにも、イルカを展示する水族館はありません。
ブラジルでは、厳しい規制があり、イルカのいる水族館はありません。
イギリスも、イルカを展示する水族館はありません。
ハンガリーでは、イルカの飼育を禁止。
クロアチアでは、水族館でのイルカの飼育展示は禁止。
病気やケガしたイルカのみ収容可能。
ウルグアイでは、水族館でのイルカの展示は禁止。
ノルウェイでは、規制が厳し過ぎて、実質上禁止。
ポーランドでも、規制が厳しく、実質上禁止。
アイスランドやオーストリアでは、新しいイルカ施設の建設は禁止。
他にも多くの国でイルカの飼育は禁止されています。
さらに、
世界各国で、イルカやクジラの捕獲・輸出入禁止を実施する国が増えています。
イルカの展示やショーでは、どうしても生命と自由の権利は阻害されてしまいます。
海洋哺乳類は、知能が高い分、より多くの不自由を感じているはずです。
イルカのショーには、
別の方法、
例えばネイチャーネットワークを使って野生のイルカをインターネットで中継したり、
生体ではない展示物を充実させたり、
野生のイルカを観察するツアーを企画したりと
いろいろな新たな方法を考えていかなければならないでしょう。
すでにラッコは、ラッコの権利を尊重して輸入が途絶えたため、
日本の水族館から消えつつあります。
もちろん、イルカを飼育することによって得られる貴重なデータが、
野生個体への保全、保護、治療に役立つこともあると思います。
イルカの展示は、
学術的・教育的な点からは有益な面もありますが、
飼育されているイルカ自身の命と権利の点では有害になります。
タイでは、ゾウの背中に観光客が乗ることを止めるところが出始めています。
ゾウは、人を背中に乗せる仕事の陰で多大な虐待を受け続けていることが発覚したからです。
でも、
その代わりに、ゾウのエサやりや掃除を手伝ったり、一緒に川で水遊びをすることにしたら、
ゾウも観光客も大喜びになったのです。
発想の転換でした。
水族館や動物園の在り方については、
動物の命や権利と
子供たちへの教育と
現実的な諸費用
などを考えると
簡単に理想的な結論が出せる問題ではありません。
私たちは、これら水族館や動物園の施設のおかげで
普段は見ることが出来ない貴重な生き物たちを見ることが出来るし、
命の大切さや生物の多様性を学ぶ貴重な機会が与えられています。
水族館や動物園は、自然界から離れてしまった現代社会において
とても大切な役割を担っていると思います。
そして、水族館や動物園を見学できるその裏方では、
飼育や運営に携わるたくさんの人たちの不断の努力があるということも忘れてはならないと思います。
すべての水族館や動物園で、生き物たちの命と自由な権利をより一層尊重できる環境になりますよう願っています。
今日もありがとうございます。

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世界動物園水族館協会(WAZA)が内部の倫理規範に違反するとして、
日本動物園水族館協会(JAZA)に改善・除名通告を行っていた問題に決着がつきました。
JAZAは20日に、WAZA加盟継続の賛否を問う会員投票を行い、
JAZA加盟の動物園と水族館全152施設中で
有効投票142票中、「残留」が99票、「離脱」が43票。
WAZA残留の投票多数という結論です。
これでJAZAに加盟している各施設は今後、
追い込み漁で捕獲したイルカの入手をやめることになります。
ここでは追い込み漁の是非ではなく、
水族館でのイルカ飼育に焦点を当ててみます。

海洋哺乳動物の水族館での飼育に関しては、
以前このブログのオルカ問題でも紹介しました。
イルカの保護の記事を書くと、残念ながら、
ほとんどの日本人がイルカに対しては批判的なコメントになってしまいます。
Twitterでイルカ保護を訴えた時も、賛同は無く、ほとんどがイルカ保護に対する批判でした。
批判は「日本の伝統を邪魔するのか」「牛や豚を殺してるのに、イルカだけ何故特別扱いするのか」
といった内容が多く寄せられます。
テレビでも、イルカの捕獲は日本の伝統、飼育は正当であり、他国の言いがかりが悪いと言う立場での報道がほとんどでした。
でも、
このブログではイルカ保護の立場は変わりません。
以前紹介したオルカの話に戻りますが、
野生で捕獲して、水族館に収容したオルカたちは、たった数か月から数年で亡くなってしまう個体が多いのです。
米国の研究報告では、約5年でした。
野生の寿命の10分の1。
ほとんどの個体が若いうちに死亡します。
そのため、
オルカを水族館で展示する限り、野生の個体を拉致し続けるしかないのです。
米国では元従業員の内部告発により、水族館のオルカは、薬漬けにされていることがわかっています。
抗生物質
抗潰瘍治療薬
向精神薬
鎮静薬
経口避妊薬
その他にも脱水を防ぐ目的でエサに大量のゼラチンを混ぜたり、
エサの魚には抗真菌薬をあらかじめ混入しています。
日本ではどうなのでしょうか?
国連では、 2007 年と2008 年を「国際イルカ年」と宣言し、世界中のイルカを対象に保護活動を行ってきました。
「国際イルカ年」では、イルカを「生きている宝」と表現しました。
インドでは、海洋哺乳類クジラ目の動物を知能が高い生き物「人類ではない人」と公式に認めました。
イルカやクジラは、人に準じる権利、生命と自由の権利は尊重されなければならないとして、
これらの動物を飼育するインド国内のドルフィンパークをすべて閉鎖するように命じました。
他国でも同様にイルカを尊重しはじめています。
一部例を上げると、(エルザ自然保護の会資料参照)
オーストラリアではすべてのイルカとクジラの展示を禁止。
ニュージーランドにも、イルカを展示する水族館はありません。
ブラジルでは、厳しい規制があり、イルカのいる水族館はありません。
イギリスも、イルカを展示する水族館はありません。
ハンガリーでは、イルカの飼育を禁止。
クロアチアでは、水族館でのイルカの飼育展示は禁止。
病気やケガしたイルカのみ収容可能。
ウルグアイでは、水族館でのイルカの展示は禁止。
ノルウェイでは、規制が厳し過ぎて、実質上禁止。
ポーランドでも、規制が厳しく、実質上禁止。
アイスランドやオーストリアでは、新しいイルカ施設の建設は禁止。
他にも多くの国でイルカの飼育は禁止されています。
さらに、
世界各国で、イルカやクジラの捕獲・輸出入禁止を実施する国が増えています。
イルカの展示やショーでは、どうしても生命と自由の権利は阻害されてしまいます。
海洋哺乳類は、知能が高い分、より多くの不自由を感じているはずです。
イルカのショーには、
別の方法、
例えばネイチャーネットワークを使って野生のイルカをインターネットで中継したり、
生体ではない展示物を充実させたり、
野生のイルカを観察するツアーを企画したりと
いろいろな新たな方法を考えていかなければならないでしょう。
すでにラッコは、ラッコの権利を尊重して輸入が途絶えたため、
日本の水族館から消えつつあります。
もちろん、イルカを飼育することによって得られる貴重なデータが、
野生個体への保全、保護、治療に役立つこともあると思います。
イルカの展示は、
学術的・教育的な点からは有益な面もありますが、
飼育されているイルカ自身の命と権利の点では有害になります。
タイでは、ゾウの背中に観光客が乗ることを止めるところが出始めています。
ゾウは、人を背中に乗せる仕事の陰で多大な虐待を受け続けていることが発覚したからです。
でも、
その代わりに、ゾウのエサやりや掃除を手伝ったり、一緒に川で水遊びをすることにしたら、
ゾウも観光客も大喜びになったのです。
発想の転換でした。
水族館や動物園の在り方については、
動物の命や権利と
子供たちへの教育と
現実的な諸費用
などを考えると
簡単に理想的な結論が出せる問題ではありません。
私たちは、これら水族館や動物園の施設のおかげで
普段は見ることが出来ない貴重な生き物たちを見ることが出来るし、
命の大切さや生物の多様性を学ぶ貴重な機会が与えられています。
水族館や動物園は、自然界から離れてしまった現代社会において
とても大切な役割を担っていると思います。
そして、水族館や動物園を見学できるその裏方では、
飼育や運営に携わるたくさんの人たちの不断の努力があるということも忘れてはならないと思います。
すべての水族館や動物園で、生き物たちの命と自由な権利をより一層尊重できる環境になりますよう願っています。
今日もありがとうございます。
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