以前当ブログ「納豆とサーファー」で、
一見関連の無いもの同士が
健康に密接に関係している話をしました。


納豆アレルギーの人の多くは、サーファーやダイバーであることや、
思春期に太陽光によく当たった人は、
花粉症と皮膚湿疹のリスクが大幅に減る とか、
 花粉症などのアレルギー症状をもつ人々は、
膵臓癌、大腸癌、食道癌、胃癌、口腔癌、脳腫瘍などの発症リスクが低下する
など。

このように
思いもよらない所で、繋がりがあるという事例はよくあります。



今日は、
人間の腸内寄生虫である回虫が、
女性の免疫システムを変化させて、
妊娠しやすい体にする可能性があるという話です。



サイエンス誌に次の論文が掲載されました。
Helminth infection, fecundity, and age of first pregnancy in women(女性における寄生虫感染、生殖能力と初回妊娠の年齢)

science56Science

この論文では、
ボリビアのチメイン族の986人の女性を対象に9年間調べた調査結果が報告されています。

その結果、
回虫感染した女性は、感染が無い女性に比べて、
より若いうちに妊娠しやすく、
また妊娠と妊娠の間の期間も短かいことがわかりました。


さらに
鉤虫感染している女性では、
若いうちに妊娠しないで、
妊娠と妊娠の間の期間も短くなかったことが判明しました。


そのため
回虫感染した女性では、子供の数も多い傾向があり、
鉤虫感染した女性では、子供の数は少なくなる傾向がありました。

この寄生虫の種類による対照的な結果について、
研究者らは、
腸内寄生虫が免疫システムに影響を与えることにより、
受胎システムに影響を与えるため

と推察しています。

ただこの研究には、
寄生虫感染していない女性との比較研究は十分に行われていないため、
今後の追試が必要そうです。



学術誌「Brain, Behavior, and Immunity」に掲載された米デューク大学の論文によると
「条虫が寄生した幼ラットは、
高齢になってから発症する脳の炎症の発生を抑えることが出来る可能性がある」
という結果でした。


研究チームは、
条虫寄生したラット群
感染の無いラット群の2つのグループを作成。
各群のラットたちに細菌感染をさせました。
その結果、
条虫感染群のラットは、サイトカインの過剰な生産による脳内の神経細胞損傷を回避することができたのです。

さらに、
寄生虫感染した妊娠中の母親ラットも、
このような保護効果を生まれてくる赤ちゃんラットに伝えることが判明しました。


寄生虫感染の無い二つの群のラットを作成。。
片方の群では、その親が条虫感染している群、
もう一つは、親の代から感染の無い群です。

各群に大腸菌を接種した時に、親が寄生虫感染していたラット群は、
異なる反応が認められました。

生まれてすぐに細菌感染したのラットは、
続いて起こる感染に対して、
脳内の免疫細胞が過敏な状態になり、
サイトカインを過剰賛成することが知られています。
このサイトカインは過剰になると、成長した後に認知障害を引き起こす可能性も指摘されているのです。

そのため、
寄生虫の感染により、
過剰な反応が抑えられ、
認知症の症状緩和に何らかの影響を与える可能性が示唆されています。





昔から、
寄生虫を使って体脂肪を減らそうという試み「寄生虫ダイエット」もあります。

イタリアのオペラ歌手マリア・カラスさんは、
条虫を腸内で飼育して、
105kgかあった体重を55kgにまで減量したという噂もあります。

スーパーモデルのナオミ・キャンベルさんなどもダイエットに使ったという有名な噂があります。

中国の有名な歌手の李代沫(リー・ダイモー)さんは、
ダイエットするためにタイの業者から
1匹10万元(約190万円)もする寄生虫を8匹購入したことを告白しています。

寄生虫研究で有名な藤田 紘一郎先生も、
自分の腸内で15年間条虫を飼育していたことで知られています。
あるサナダムシには「さとみちゃん」という愛称をつけていたとか。


寄生虫学者の先生方が、
自分の体内で寄生虫を飼育することは
意外に多く見られました。
(私が知っている30年前くらいの話です。今はわかりません。)

実際に飲んだ先生から聞いた話ですが、
条虫を飲んだら、
それまであまり飲めなかったお酒が飲めるようになったという話を聞きました。
その先生は、
年末年始になるとお腹に寄生虫を入れていました。



いろいろ使われる寄生虫。
いまだに寄生虫の自然界における本当の役割は解明されていません。


この地球上には、
意味のないものは無い。





「一華開五葉」
文字通り、一つの花が五枚の花びらを開く、ということ。

それはごく自然な事であり、
そこには人の頭で考えた理屈や屁理屈は必要がない。

寄生虫も、
人の理屈を超えたところで、
大きなお役目が与えられているのでしょう。

それが、少しずつ解明されていく時に
寄生虫の有り難さがわかってくるのだと思います。



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