国内最高齢のゾウ
「はな子」が
飼育されていた東京都立井の頭自然文化園で
老衰のため
亡くなりました。
享年69歳。
直接的な死因は、
継続的な横臥によって
肺のうっ血を引き起こしたことによる呼吸不全でした。
昨日の午前1時25分頃に横たわり、
午前10時45分頃に
各動物園関係者らが集合して
人々に愛されたゾウ：はな子。
日本の報道では
「平和の使者：はな子逝く」
というような美談の見出しばかりの一方で
海外では
「世界で最も悲しいゾウ：はな子逝く」
というようなものが多くみられます。
例えば
こちらはHuffPostの英語版
「世界一孤独なゾウ:コンクリートに閉じ込められたまま死亡」
「世界一悲しいゾウ：60年間隔離され死亡」
などと報道される一方で、
HUFFPOST
こちらはHuffPostの日本語版、
HUFFPOST
同じ新聞でもこれほど差があります。
美談報道はいいことだと思います。
ただ
それによって、
はな子の置かれた過酷な現実を隠してしまえば、
また同じ悲劇が起こる可能性があるということも
知っておいた方がいいと思います。
日本の報道は、
美談報道か個人攻撃か
あまりに極端すぎて
問題提起という報道に最も肝心な部分をあえて避けてしまっています。
はな子は、
1947年にタイのクンジャラ農園で生まれ
1949年に戦後初めて日本にやってきたゾウでした。
タイから上野動物園に送られたはな子は、
戦争のために餌を与えられずに餓死させられた上野動物園のゾウ「花子」にちなんで
「はな子」と名付けられました。
.indiegogo.com
その後、数年で
東京都立井の頭自然文化園へ移されました。
ここでの環境は
ゾウにとってはかなり悪いもので、
はな子には大きなストレスとなりました。
1956年には酔っぱらってゾウ舎に侵入した男が踏み殺され、
その数年後には
飼育員が踏み殺されてしまいました。
そのため、
何年もの間、コンクリートに囲まれた中で
足を鎖につながれて
さらに自由を奪われてしまいました。
その後の飼育員の献身的な努力によって
人間不信から脱するエピソードは本やドラマにもなりました。
でも
実は
その後も
飼育員や獣医師がケガをするような事件もおきています。
やはり
ストレスは大きいと思います。
はな子は、
土の上を歩くこともなく
木々の間を歩くこともなく
コンクリートの地面と
コンクリートの壁だけの世界に
ずっと閉じ込められたままでした。
Facebook/HelpHanako
この現状を見て、
世界各地から批判が起こり,
はな子救出キャンペーンとして
嘆願も始まっていました。
petition
世界中からはな子を助けるための寄付金募集も始まっていました。
はな子を助けるための
はな子グッズも販売されました。
.indiegogo.com
フェイスブックも
はな子を助ける専用ページがあります。
Facebook/HelpHANAKO
はな子は、悲劇のゾウとして、
海外の大手メディア、 ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、デイリーメールをはじめ
世界中の新聞、テレビ、ラジオなどで取り上げられました。
日本のメディアで取り上げたのは、ジャパンタイムス（英語版）だけでしょうか？
はな子を
自然の土と草と木々があり
仲間のゾウたちもいる
生まれ故郷のタイのサンクチュアリに
移そうという計画もありましたが、
井の頭自然文化園では
はな子の精神的状態や
はな子の高齢をよく考えた上で
タイのサンクチュアリへ送る計画を断念しています。
そして
はな子をサンクチュアリに移す代わりに
2014年の晩年になって
ようやく
米国のキャロル・バックリィさんの協力の元で
ヒーターを設置したり
コンクリートにマットを敷いたり
タイヤなどの玩具を与えたりと
環境の改善を図っています。
動物園の園長はじめスタッフたちは
動物が本当に大好きですから
苦渋の決断だったのではないかと思います。
それでもやはり
コンクリートでできた牢獄にしか見えないことで
海外からの批判は止まりません。
なぜか日本では、
全く報道されることはなかったようです。
ゾウは、
仲間をとても大切にする動物ですので、
故郷のタイの美しい自然の中で
仲間のいる保護区へ帰れないことは
とても残念な決断でした。
最後の数年は、
歯も抜け落ち、
最近は消化器系もかなり弱くなっていました。
今年６９歳を迎え、
３月には体調不良のため長寿を祝うイベントを中止していました。
はな子は、
一生のほとんどを
大地に触れることもなく
仲間と共に過ごすこともなく
狭いコンクリートの囲いの中で暮らしました。
ここは東京都の持ち物です。
東京都の予算では、
ゾウ舎を改善するお金が全くなかったのでしょう・・・。
ほんのわずかな東京都の予算がまわせれば
隣の熱帯園が老朽化のために取り壊されて更地になった場所に
はな子のゾウ舎を拡張して
状況を改善することが
本当はできたはずなのです。
不幸中の幸いであったのは、
飼育員をはじめ
多くの人々に
愛され、
はな子も飼育員を信頼していたことでしょうか。
でも
私は、
はな子が「平和の使者」と呼ばれながら
コンクリートの牢獄で一生を終えるよりも
土と草と木のある自然の中で
仲間と最後の晩年を
できれば
もっと早い時期から
過ごしてほしかったと思います。
皆さんはどうお考えでしょうか？
ご冥福をお祈り申し上げます。
今日もありがとうございます。
ブログランキング参加しています。
よろしければクリックお願いいたします。
人気ブログランキングへ
「はな子」が
飼育されていた東京都立井の頭自然文化園で
老衰のため
亡くなりました。
享年69歳。
直接的な死因は、
継続的な横臥によって
肺のうっ血を引き起こしたことによる呼吸不全でした。
昨日の午前1時25分頃に横たわり、
午前10時45分頃に
各動物園関係者らが集合して
内臓の圧迫死を防ぐために、ロープなどにより起立させる作業を開始しましたが、
午後3時4分に死亡を確認。
人々に愛されたゾウ：はな子。
日本の報道では
「平和の使者：はな子逝く」
というような美談の見出しばかりの一方で
海外では
「世界で最も悲しいゾウ：はな子逝く」
というようなものが多くみられます。
例えば
こちらはHuffPostの英語版
「世界一孤独なゾウ:コンクリートに閉じ込められたまま死亡」
「世界一悲しいゾウ：60年間隔離され死亡」
などと報道される一方で、
HUFFPOSTこちらはHuffPostの日本語版、
HUFFPOST同じ新聞でもこれほど差があります。
美談報道はいいことだと思います。
ただ
それによって、
はな子の置かれた過酷な現実を隠してしまえば、
また同じ悲劇が起こる可能性があるということも
知っておいた方がいいと思います。
日本の報道は、
美談報道か個人攻撃か
あまりに極端すぎて
問題提起という報道に最も肝心な部分をあえて避けてしまっています。
はな子は、
1947年にタイのクンジャラ農園で生まれ
1949年に戦後初めて日本にやってきたゾウでした。
タイから上野動物園に送られたはな子は、
戦争のために餌を与えられずに餓死させられた上野動物園のゾウ「花子」にちなんで
「はな子」と名付けられました。
.indiegogo.comその後、数年で
東京都立井の頭自然文化園へ移されました。
ここでの環境は
ゾウにとってはかなり悪いもので、
はな子には大きなストレスとなりました。
1956年には酔っぱらってゾウ舎に侵入した男が踏み殺され、
その数年後には
飼育員が踏み殺されてしまいました。
そのため、
何年もの間、コンクリートに囲まれた中で
足を鎖につながれて
さらに自由を奪われてしまいました。
その後の飼育員の献身的な努力によって
人間不信から脱するエピソードは本やドラマにもなりました。
でも
実は
その後も
飼育員や獣医師がケガをするような事件もおきています。
やはり
ストレスは大きいと思います。
はな子は、
土の上を歩くこともなく
木々の間を歩くこともなく
コンクリートの地面と
コンクリートの壁だけの世界に
ずっと閉じ込められたままでした。
Facebook/HelpHanakoこの現状を見て、
世界各地から批判が起こり,
はな子救出キャンペーンとして
嘆願も始まっていました。
petition世界中からはな子を助けるための寄付金募集も始まっていました。
はな子を助けるための
はな子グッズも販売されました。
.indiegogo.comフェイスブックも
はな子を助ける専用ページがあります。
Facebook/HelpHANAKOはな子は、悲劇のゾウとして、
海外の大手メディア、 ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、デイリーメールをはじめ
世界中の新聞、テレビ、ラジオなどで取り上げられました。
日本のメディアで取り上げたのは、ジャパンタイムス（英語版）だけでしょうか？
はな子を
自然の土と草と木々があり
仲間のゾウたちもいる
生まれ故郷のタイのサンクチュアリに
移そうという計画もありましたが、
井の頭自然文化園では
はな子の精神的状態や
はな子の高齢をよく考えた上で
タイのサンクチュアリへ送る計画を断念しています。
そして
はな子をサンクチュアリに移す代わりに
2014年の晩年になって
ようやく
米国のキャロル・バックリィさんの協力の元で
ヒーターを設置したり
コンクリートにマットを敷いたり
タイヤなどの玩具を与えたりと
環境の改善を図っています。
動物園の園長はじめスタッフたちは
動物が本当に大好きですから
苦渋の決断だったのではないかと思います。
それでもやはり
コンクリートでできた牢獄にしか見えないことで
海外からの批判は止まりません。
なぜか日本では、
全く報道されることはなかったようです。
ゾウは、
仲間をとても大切にする動物ですので、
故郷のタイの美しい自然の中で
仲間のいる保護区へ帰れないことは
とても残念な決断でした。
最後の数年は、
歯も抜け落ち、
最近は消化器系もかなり弱くなっていました。
今年６９歳を迎え、
３月には体調不良のため長寿を祝うイベントを中止していました。
はな子は、
一生のほとんどを
大地に触れることもなく
仲間と共に過ごすこともなく
狭いコンクリートの囲いの中で暮らしました。
ここは東京都の持ち物です。
東京都の予算では、
ゾウ舎を改善するお金が全くなかったのでしょう・・・。
ほんのわずかな東京都の予算がまわせれば
隣の熱帯園が老朽化のために取り壊されて更地になった場所に
はな子のゾウ舎を拡張して
状況を改善することが
本当はできたはずなのです。
不幸中の幸いであったのは、
飼育員をはじめ
多くの人々に
愛され、
はな子も飼育員を信頼していたことでしょうか。
でも
私は、
はな子が「平和の使者」と呼ばれながら
コンクリートの牢獄で一生を終えるよりも
土と草と木のある自然の中で
仲間と最後の晩年を
できれば
もっと早い時期から
過ごしてほしかったと思います。
皆さんはどうお考えでしょうか？
ご冥福をお祈り申し上げます。
今日もありがとうございます。
ブログランキング参加しています。
よろしければクリックお願いいたします。
人気ブログランキングへ
コメント
コメント一覧
最後は10年ぐらい前でしょうか、周りに人もいなく、5分ぐらいの間2人(！)きりでした、
はな子はほとんど動くこともなく、目を見ていると,とってもさびしそうでした。はな子は園ではとても大切にされていたと思いますが、森井先生もご指摘される通り、資金的に環境を整えることが難しかったのでしょう。
都民としてはオリンピックにかかる莫大で不要な施設群、また視察代よりも、公共的で長期的に役立つ事柄に税金を使ってもらいたいです。国内における政治や環境問題に対する報道のされ方をみていると、日本はリテラシー教育も充実にされておらず（議論や問題提起もいつもあやふやですし）、欧米とくに北欧などのように、幼少期から社会問題に対する意識を養う機会が少ないのではないかと思います。大人になっても、よっぽど興味がない限り、他の生物のことや、食品、環境、社会問題などについて知ろうとしないのかなぁと感じます。選挙に行かない人も多い様ですし。
最近強く感じるのは、自分の心と愛情をもって向き合うことの大切さです。自分の心が穏やかで充実してくると、他への愛情も自然と湧いてくると思います。つながりも感じます。自分でできる一番大事な行いだと思います。はな子の話に戻りますが、素人意見で、人間の都合で連れてこられてしまったので、群れで生活する動物を飼育するには、群れでしか飼育できない法（空間や環境も含めて）を施行するなど最低限の基準が必要かと思います。長文にて失礼しました。
幼くして連れて来られて、亡くなるまでずっと１頭だけ隔離されて生きてきたことを想像すると
本当に胸が痛くなります。せめて最後の余生はもっといい環境の中で送らせてあげたかった。
今でこそ自然環境や動物保護が語られるようになった日本ですが、はな子が連れて来られた
戦後間もない頃の日本は貧しくて、動物の飼育環境に予算を割く議論すら出なかったと思い
ます。「衣食足りて礼節を知る」 という言葉がありますが、まさにその通りですね。
世界にはまだ貧しくて教育も行き届かない国がたくさんあって、グローバル経済のしわ寄せが
そうした国に環境破壊や動物虐待を押し付けているのが現状です。
だからこそ、その国だけの問題ではなく国境を越えた私たちの支援が必要です。
衣食足りて先に豊かになった者は、まだ豊かになっていない者を手助けする義務があると
思います。嘆願書への署名、寄付、ボランティア、環境教育、生物への理解…、どれも戦後の
日本にもありませんでした。遅きに失した感は否めませんが、はな子が身を以って日本人に
教えてくれたのはそういう事だったかと思います。私たちには義務があります。
だから、美談だけでは済ませずに、辛い現実を知って欲しかったのです。それで、多くのゾウたちが救われるのであれば、はな子もとても喜ぶはずです。
はな子は東京都の管轄でした。東京都では、オリンピックや海外視察など派手な部分には湯水のようにお金を使います。でも、こういったところには、とても厳しい。本来はお金の使い方が逆ではないかなと思います。
いつも、素晴らしいブログ記事をありがとうございます。
素人的な、疑問ですが、ブログランキングのくくりですが、環境保護とか、動物愛護などにもノミネートが可能でしたら、そうして頂けないでしょうか？
もっと、もっと多くの方に、是非読んで頂きたい記事ばかりです。
そうですね、ブログランキング参加しているものの、仕組みをりかいしてませんでした。
あまり宣伝することはなかったですね。
自然と素敵な人たちばかりが集まってきてくれているみたいで、感謝です。