分子標的薬。

分子標的薬は、がん治療で最近使われ始めた薬です。

がん細胞の表面にあるたんぱく質や遺伝子を効率よく攻撃するために開発されました。
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通常の抗がん剤は、がん細胞と正常細胞の区別なく
無差別に攻撃します。
そのため副作用が大きくなります。

特に、
髪の毛や胃腸の粘膜などの成長が早い健康な細胞は大きなダメージを追ってしまいます。
だから
脱毛したり、吐き気がでてしまうのです。


分子標的薬は、
遺伝子・分子レベルでがん細胞の特徴を認識して、
がん細胞の増殖や転移に関する特定の分子だけを攻撃対象しますので、
正常な細胞へのダメージが
従来の抗がん剤よりも比較的少ないとされています。



戦争で言えば、
抗がん剤は、敵国の都市に原爆を投下するようなもの。
分子標的薬は、敵の攻撃拠点に絞って攻撃するようなもの。

そのため
分子標的薬も抗がん剤の一種なのですが、
従来の抗がん剤とは作用機序が異なることから
一般的には抗がん剤と区別して呼ばれています。

なんだか夢のような薬に思えますが、
実際はどうなのでしょうか。

進行性の胃がんでみてみましょう。

日本では、
胃がんの分子標的薬としては
ラムシルマブ（商品名サイラムザ）とトラスツズマブ（商品名ハーセプチン）が承認されています。


ラムシルマブの効能は、
「治癒切除不能な進行・再発の胃癌・結腸・直腸癌・非小細胞肺癌」

トラスツズマブの効能は、
「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌」


副作用がないわけではありません。
どちらも重篤な副作用によって死亡してしまう例も報告されています。

通常この二剤は、
どちらも
従来の抗がん剤治療に加えて使用されます。



進行胃がんに対する
分子標的薬の効果を検証した論文があります。

Molecular-targeted first-line therapy for advanced gastric cancer.

この研究では、
これまでに発表された「進行胃がんに対して分子標的薬を使用した論文」データを検討し、
再評価する方法が行われました。

基準を満たす11件の論文が見つかり、
対象者数は4,014人について調べています。

評価した11件の論文はすべて
分子標的薬を含まない抗がん剤治療
と、
抗がん剤治療に分子標的薬を加えた治療
が比較検討されていました。



その結果は、

進行胃がん治療において
現時点では
分子標的薬の明確な治療効果は認められませんでした。

つまり
抗がん剤治療群と
抗がん剤に分子標的薬を加えた群で
明確な治療効果として優位的な差が出なかったのです。


しかも
従来の抗がん剤治療に分子標的薬を加えることで、
副作用が増加し、

さらに
深刻な副作用も増加していることがわかりました。




おそらく今も治療中の方はいると思います。

進行胃がん＆分子標的薬で検索すると、
夢のような薬としての案内しか出てこないからです。

igan


充分な効果が期待出来ないかもしれないだけではなく、
副作用が増えてしまう。






分子標的薬は、
まだ始まったばかりの治療法です。

上記の論文でも
結論を出すにはまだ早急であるとの見解を示しています。
 
今後、
改良されていくことでしょう。
また、
新たな分子標的薬の開発や
新たな効果的な投与法が出てくるのかもしれません。


でも、
現時点では
このような現状になっています。

多額なお金を払ってまで
効かない薬の副作用に苦しんでしまうのでは
治療自体が有害になってしまいます。




近い将来
がんの治療法は大きく変わることでしょう。


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#がん
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#分子標的薬
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