オナガサイチョウ。

東南アジアの熱帯林に生息している大きく美しい鳥です。

長い尾を含む最大体長は、170cm
最大翼開長は、130cm
にも成長します。 


この鳥は
嘴が大きく、特に上嘴の基部に
「カスク」
と呼ばれる大きな膨らみがあります。

これは、
オス同士が空中で争う時に
互いのカスクをぶつけ合って
強さを決めるための重要な部位です。


このカスクが
サイの角のように見えることから
サイチョウと呼ぶようになりました。


_86078228_c0046009-helmeted_hornbill-bbc.com


とても美しい鳥として知られています。

長い尾は、白羽に黒の模様が入ります。

image-20151112-9379-lifsfl


このカスクは、
骨ではなく、
主にケラチンという爪や角などと同じ成分のタンパク質でできています。

_86080467_c0260184-carved_hornbill_skbbc.com


p034nxycbbc.co.uk



このカスクが
「赤い象牙」
「鳥類の象牙」

などと呼ばれて
とても高値で取引されています。



そのために、
この美しい鳥は
見つかり次第
射殺されてしまうのです。





密猟の元締めは
地元の猟師に違法に射殺させて
一つの頭を4ドルで買い
100ドルから最高1,000ドルで転売します。

image-20151111-9362-19z4rwmtheconversation.com

サイチョウ類であれば、
どの鳥でも射殺対象ですが、
中でも
このオナガサイチョウは、
最も高価に取引されています。

相場によっては
象牙よりも高価です。



03natgeo.nikkeibp.co.jp

この銃と共に押収されたオナガサイチョウの嘴の
密売先は、
日本と中国でした。



これは日本で作られた工芸品です。

Jugyoku_-_Crab_-_Walters_71851_-_TopWikipedia

こちらは中国で売られていたもの
image-20151112-9362-11fahdctheconversation.com

たったこれだけを作るためだけに
貴重な命を奪っています。




もともと
ボルネオ島では先住民が二千年以上前から
このカスクをつかって
装飾品を作る伝統があったとされています。

でも
彼らは銃を使うようなことはしません。




2011年頃には、
中国の新富裕層の間でオナガサイチョウのカクスの工芸品、装飾品が
爆発的に人気となりました。


象牙よりも希少価値があることが広まり
多くの富裕層が
競って手に入れようとしたのです。



そして、
この鳥のカスク欲しさに
インドネシアに生息するオナガサイチョウが
大量に殺されてしまいました。


しかも
カスクは
象牙よりも加工しやすく、
職人たちが緻密な細工をするのに適しているのです。


サイも角だけのために殺され
ゾウも牙だけのために殺され
センザンコウも鱗のためだけに殺され
サイチョウもカスクのためだけに
殺されるのです。


HORNBILL cropzsl.org


サイチョウは
気が付いたときには
すでに
絶滅してしまう怖れが出ていました。


2015年10月になって、
オナガサイチョウの保全状態の評価が
「近危急種」(near-threatened)から
異例の三段階一気に引き上げられて、
絶滅の寸前の「近絶滅種」(critically endangered)に分類されました。


事態は急を要するからです。


闇取引を根絶するための
組織も立ち上がりました。



オナガサイチョウは、
一年に一回
一回に一羽だけです。

ヒナが一人前になるには、
長い期間が必要です。

そのため、
子育て中に親鳥が射殺されると
ヒナも一緒に死んでしまいます。

また、
オナガサイチョウの住む森が次々と伐採されています。


Helmeted-Hornbill-infographic_with-logo-600x424voices.nationalgeographic.com


この数十年で
この美しい鳥が
地球上に生き残れるかどうかが
決まります。



それは
私たちの意識次第です。

Helmeted-hornbillarkive.org


いまだに
多くの人たちが
自我を満たすことにあこがれて
お金や財産や権力を
必要以上に求め続けます。


サイチョウの嘴が希少なものであると知ると
自我を満たすためだけに
サイチョウを殺してでも
入手したくなる人は
とても多いのです。



自我を満たすことに専念していると
やがて
あらゆる物の価値を経済的価値で判断するようになり、

それが
財産や富を
もっと欲しがるという悪循環に陥っていきます。


お金があれば、
人よりも優れているといった妄想や
お金があれば
何でもできるといった狂気を
自分の中で正当化してしまいます。

それは
お金持ちだけではなく
身近にもたくさんいるはずです。


現代社会では
宗教のように
拝金主義が当たり前になっていますから。


それは
様々な面で
心の奥に歪を生み出していきます。




マタイによる福音書第19章23節~24節に
次のように記されています。
イエスは弟子たちに言われた、「よく聞きなさい。富んでいる者が天国にはいるのは、むずかしいものである。
富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだ(太い綱)が針の穴を通る方が、もっとやさしい」。


拝金至上主義の現代社会で
どれだけの人が
この真意を理解できるのでしょう。

固定観念から離れて
発想の転換が必要でしょう。





本当の財産や富は

お金や権力ではなく


人格や叡智、思いやりのある心にあることを

多くの人が理解できれば

動物たちの絶滅への危惧も
根底から消えていくはずです。



今日もありがとうございます。
ブログランキング参加しています。
よろしければクリックお願いいたします。



人気ブログランキングへ