リリカという薬を飲んでいる知人が何人かいます。
腰痛や坐骨神経痛に、あまり効いていないという話も聞きました。

えっ。
そもそも
リリカの適用範囲は
腰痛や坐骨神経痛の薬ではなく、

神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛を改善する薬です。。
帯状疱疹などにもよく使われます。

webmd_rmwebmd.com

でも、
痛みのある時には
よく処方されるようです。

痛みのある時によく処方されるのは
「ロキソニン」や「リリカ」が多いようです。

簡単に言うと
炎症や外傷などに伴う痛みには、ロキソニンが多く使われ
神経障害性の痛みには、リリカが多く使われます。


痛みの原因は単純ではないために、
例えば
椎間板ヘルニアの痛みでは、
炎症が起きていて、しかも神経も障害されるために
両方の薬が考慮されるのです。



医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に
リリカ(成分:プレガバリン)を急性と慢性の坐骨神経痛の効果について調べた論文が出ています。
「 Trial of Pregabalin for Acute and Chronic Sciatica」


オーストラリアからの研究報告です。
nririkanejm.org


この研究では、
急性と慢性の坐骨神経痛の患者さん209人を対象に
無作為に二つのグループに分けて
リリカまたは偽薬のどちらかを処方。


偽薬グループの薬には
全く有効成分は入っていません。

リリカ服用グループの服用量としては、
1日あたり150mgで開始し、
症状に応じて1日600mgにまで増やします。

これを
8週間続けて
その効果を経過観察しています。


この製剤には、
カプセルと口内崩壊錠が、それぞれ25mg、75mg、150mgがあります。
1日600mgは、一番用量の大きい150mgの製剤で4つです。
これは通常の投与量の最大限の服用量となります。

「神経障害性疼痛に使われる一般的な用量では
成人には初期用量として1回75mgを1日2回経口投与し、
その後1週間以上かけて1日用量として300mgまで漸増する。
1日最高用量は600mgを超えないこととし、いずれも1日2回に分けて経口投与する。
線維筋痛症に伴う疼痛の場合の、1日最高用量は450mgです。」



その結果、
各グループともに
8週間の服用の結果、痛みに差はありませんでした。


さらに
52週目までの経過観察においても
痛みの改善に差はありませんでした。

さらに
機能面などの他の点からも差が認められませんでした。

つまり、
坐骨神経痛の治療に関しては効果がなかった。




それだけではなく、
この薬の服用の際の注意事項には次のようなものがあります(抜粋)。

本剤の投与により、めまい、傾眠、意識消失等があらわれ、自動車事故に至った例もあり、高齢者ではこれらの症状により転倒し骨折等を起こした例があるため、十分に注意すること。

本剤の急激な投与中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、不安及び多汗症等の症状があらわれることがある。
 
本剤の投与により体重増加を来すことがある。
 
本剤の投与により、弱視、視覚異常、霧視、複視等の眼障害が生じる可能性がある。
 
本剤による神経障害性疼痛の治療は原因療法ではなく対症療法であることから、疼痛の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行い、本剤を漫然と投与しないこと。


副作用等発現状況の概要では、

帯状疱疹後神経痛において
安全性評価対象例1,680例中1,084例(64.5%)に副作用が認められた。

糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛において
安全性評価対象例302例中199例(65.9%)に副作用が認められた。 

 脊髄損傷後疼痛、脳卒中後疼痛及び多発性硬化症に伴う疼痛において
安全性評価対象例215例中165例(76.7%)に副作用が認められた。

線維筋痛症
安全性評価対象例356例中295例(82.9%)に副作用が認められた。 


重要な副作用については
めまい(20%以上)、傾眠(20%以上)、意識消失(0.3%未満)
心不全、肺水腫、横紋筋融解症、腎不全、血管浮腫、低血糖、間質性肺炎、ショック、アナフィラキシー、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、劇症肝炎、肝機能障害などがあります。

他にも 
50を超える項目での副作用が知られています。


場合によっては、
効果がなかっただけではなく、
副作用が出てしまうリスクもあります。



あと
勘違いしている人が多いのですが、
痛み止めは対症療法であり、
病気を治療しているわけではないということ。

リリカの効能書きにも、
「本剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることから、疼痛の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行い、本剤を漫然と投与しないこと。」
と書かれています。



今回の研究報告では
けっして
さまざまな疾患におけるリリカの効果を否定するものではありませんが、
服用していても
効いていないと感じる場合には
どのように対処したらよいのかを考えさせる結果となっています。

効かないどころか
副作用で苦しんでは、
治療自体が有害になってしまうからです。


この薬は子供や妊娠中には処方されないために、
服用している人のほとんどは高齢者だと思います。


高齢者の方は
自分が飲む薬を医師に完全にお任せしていることが多いのですが、
服用していて効果を感じられない場合には、
主治医の先生とよく相談して、
自分に合った薬、自分に合った治療法を探していくことが
よりよい治療、より早い治癒に繋がります。




今日もありがとうございます。
ブログランキング参加しています。
よろしければクリックお願いいたします。
 
人気ブログランキング