ボーダーコリー。
昔バイキングたちが
北欧スカンジナビアからスコットランドに持ち込だ犬と、
スコットランドの牧羊犬を
かけ合わせることによって、
現在のボーダー・コリーが作り出されたとされています。
ボーダー・コリーは
頭がよく、
訓練性能がとても優れているために
牧羊犬として欧米を中心に世界中の牧場で人気となりました。
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学心理学部の教授の研究では
犬の知能ランキング世界一は
断トツの成績で
ボーダーコリーでした。
その運動能力と高い知能を買われ
ドッグスポーツや訓練競技会に参加するようになり、
次第に
ボーダー・コリーが上位を独占するようになりました。
日本でもとても人気の犬種になりました。
mnn.com
そのボーダーコリーには
獣医さんにしか知られていない病気が潜んでいます。
それが、
捕捉好中球症候群(TNS:Trapped neutrophil Syndrome)です。
この病気は
遺伝病です。
TNSが発症した犬の赤ちゃんは、
生まれた時には同腹の犬たちと同じ大きさなのに
まもなく同腹の犬たちと比較して
成長速度が遅いために
小さく育っていきます。
フェレットのような細身の外見になることも報告されています。
元気もなく
次第に
同腹犬たちとも一緒に遊ばなくなっていきます。
TNSの多くの子犬では
生後数週間のうちに
元気消失、発熱、関節の痛みによる歩行困難、慢性の下痢、食欲不振などの症状が始まります。
この症状は
感染によるものです。
感染に対する防御ができないのです。
早い場合には
生後2週齢で症状が発生する例もあります。
遅い場合でも
生後9ヶ月齢までにはなんらかの症状が見られます。
血液検査では
生後6週齢以降で、
身体の防御を担う白血球の一つである好中球の減少が顕著になります。
さらに貧血も始まります。
好中球は、感染症や炎症から体を守る大切な働きを担っています。
それは骨髄で作られています。
TNS犬も
骨髄で正常に好中球は作られるのですが、
循環血中へ出て行くことができずに
基本的には
好中球の絶対数が少ない検査結果を示すのですが
発熱したり、関節の痛みによって
好中球が増加しようとするために
血液検査では減ってから増えるために
一時的に正常値になることがあります。
X線検査では
四肢の骨密度の低下と骨皮質の菲薄が認められ、
骨幹端での骨折が確認された例や
その骨折に近い領域に、骨硬化がみられた例もあります。
多くの例で
生後4ヶ月齢ぐらいまでに死亡してしまいます。
この病気は、まだ認知度が低いために
TNSと診断されずに
原因不明とされている例もかなりあると思います。
長生きできた場合では
欧米では
2歳頃までに
安楽死が選択される例が多いようです。
この病気はあまり一般的ではありません。
なので、
一般の人やボーダーコリーを飼っている人でも知らないことが多いです。
それは、
生後間もなく発症するために
市場には出てこないことや
TNSの遺伝子検査を実施しないまま
原因不明の病気として若齢で亡くなってしまうわんこも多い
と推定されるからです。
TNSは、
常染色体劣性遺伝形式の異常であり、
病気の遺伝子を片方だけ持つ個体(キャリア)は
発症することはありません。
正常な個体とキャリア個体が交配した場合には
どの子犬たちも発症することはありません。
キャリア同士の交配の場合には
要注意です。
ボーダーコリーのキャリアの割合は
米国で 16%
オーストラリアで、15%
日本で、11.1%
というデータがあります。
日本のボーダーコリーの10頭中1頭は
TNSのキャリアという結構な確率です。
日本でもキャリアの数は多いので
ボーダーコリーを買う場合には
この病気についても知っておいた方がいいと思います。
完治させる治療法は今のところありません。
でも
早期発見により
さまざまな治療法を施すことによって
生活の質を上げていくことは可能です。
今日もありがとうございます。
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昔バイキングたちが
北欧スカンジナビアからスコットランドに持ち込だ犬と、
スコットランドの牧羊犬を
かけ合わせることによって、
現在のボーダー・コリーが作り出されたとされています。
ボーダー・コリーは
頭がよく、
訓練性能がとても優れているために
牧羊犬として欧米を中心に世界中の牧場で人気となりました。
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学心理学部の教授の研究では
犬の知能ランキング世界一は
断トツの成績で
ボーダーコリーでした。
その運動能力と高い知能を買われ
ドッグスポーツや訓練競技会に参加するようになり、
次第に
ボーダー・コリーが上位を独占するようになりました。
日本でもとても人気の犬種になりました。

そのボーダーコリーには
獣医さんにしか知られていない病気が潜んでいます。
それが、
捕捉好中球症候群(TNS:Trapped neutrophil Syndrome)です。
この病気は
遺伝病です。
TNSが発症した犬の赤ちゃんは、
生まれた時には同腹の犬たちと同じ大きさなのに
まもなく同腹の犬たちと比較して
成長速度が遅いために
小さく育っていきます。
フェレットのような細身の外見になることも報告されています。
元気もなく
次第に
同腹犬たちとも一緒に遊ばなくなっていきます。
TNSの多くの子犬では
生後数週間のうちに
元気消失、発熱、関節の痛みによる歩行困難、慢性の下痢、食欲不振などの症状が始まります。
この症状は
感染によるものです。
感染に対する防御ができないのです。
早い場合には
生後2週齢で症状が発生する例もあります。
遅い場合でも
生後9ヶ月齢までにはなんらかの症状が見られます。
血液検査では
生後6週齢以降で、
身体の防御を担う白血球の一つである好中球の減少が顕著になります。
さらに貧血も始まります。
好中球は、感染症や炎症から体を守る大切な働きを担っています。
それは骨髄で作られています。
TNS犬も
骨髄で正常に好中球は作られるのですが、
循環血中へ出て行くことができずに
骨の中に
好中球が捕捉されたままになってしまうのです。
この病態は
医学用語では、
myelokathexisといいます。
そのため、
普通なら感染しないような細菌でも
感染を起こしてしまいます。
この病態は
医学用語では、
myelokathexisといいます。
そのため、
普通なら感染しないような細菌でも
感染を起こしてしまいます。
感染した細菌の種類によって、
症状や症状の発現時期が異なります。
症状や症状の発現時期が異なります。
基本的には
好中球の絶対数が少ない検査結果を示すのですが
発熱したり、関節の痛みによって
好中球が増加しようとするために
血液検査では減ってから増えるために
一時的に正常値になることがあります。
X線検査では
四肢の骨密度の低下と骨皮質の菲薄が認められ、
骨幹端での骨折が確認された例や
その骨折に近い領域に、骨硬化がみられた例もあります。
多くの例で
生後4ヶ月齢ぐらいまでに死亡してしまいます。
この病気は、まだ認知度が低いために
TNSと診断されずに
原因不明とされている例もかなりあると思います。
長生きできた場合では
欧米では
2歳頃までに
安楽死が選択される例が多いようです。
この病気はあまり一般的ではありません。
なので、
一般の人やボーダーコリーを飼っている人でも知らないことが多いです。
それは、
生後間もなく発症するために
市場には出てこないことや
TNSの遺伝子検査を実施しないまま
原因不明の病気として若齢で亡くなってしまうわんこも多い
と推定されるからです。
TNSは、
常染色体劣性遺伝形式の異常であり、
病気の遺伝子を片方だけ持つ個体(キャリア)は
発症することはありません。
正常な個体とキャリア個体が交配した場合には
どの子犬たちも発症することはありません。
キャリア同士の交配の場合には
要注意です。
ボーダーコリーのキャリアの割合は
米国で 16%
オーストラリアで、15%
日本で、11.1%
というデータがあります。
日本のボーダーコリーの10頭中1頭は
TNSのキャリアという結構な確率です。
日本でもキャリアの数は多いので
ボーダーコリーを買う場合には
この病気についても知っておいた方がいいと思います。
完治させる治療法は今のところありません。
でも
早期発見により
さまざまな治療法を施すことによって
生活の質を上げていくことは可能です。
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コメント
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我が家にはTNSを発症したボーダーコリーがおります。当初は対処療法にしても何の手がかりもなく生死を彷徨うことも幾たびか。でも、これは!!という手がかり、可能性を見出すことができました。明日でちょうど11歳。TNSでも高いQOLを維持しながら生活することができています。そしてTNSの本当の正体は好中球が少なくて感染症にかかってしまうことではなく、特殊な自己免疫疾患にあるようです。好中球は少なくても他の免疫機能が発動され驚くほど感染症にはかかりません。しかし、色々な病気の症状が出てきます。その原因が自分で自分の体を攻撃しているというわけです。 いずれこの内容が論文になるかもしれません。