ごくごく稀なことですが
猫が麻酔後に失明したという事例が
米国の麻酔専門医の間で話題になりました。


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これは
事例が少ないために
長い間原因が不明でしたが
2012年になって
麻酔後に失明した20頭の猫の症例を集めて
詳細に検討した研究結果が発表されました。

ppncbi.nlm.nih.gov


20頭の内訳は
歯科治療 13頭
上部消化管内視鏡処置 4頭
去勢 2頭
尿路閉塞の治療 1頭
でした。

20頭中の16頭で開口器が使われ
3頭は
術中の心停止を経験していました。

口を大きく開ける処置が多いことがわかります。

さらに
失明だけではなく
斜頸や旋回運動といった神経系の症状を表す症例も報告されていることから
眼球の問題よりも
脳の視覚中枢が問題である可能性が高いことも判明しました。


14頭(70%)の猫は視力を回復。
4頭(20%)の猫は、失明から回復しませんでした。
2頭(10%)の猫は、その後の経過が不明です。


結局
麻酔後に失明した猫たちは
心停止などの循環不良以外では
口を大きく開ける開口器に原因があることが示唆されました。




猫の口を大きく開いた状態と開かない状態の上顎動脈の血流を調べた研究があります。

それによると
猫の口を大きく開いた状態を維持することで
上顎動脈の血流が阻害される可能性があることが判明。

これは
下顎や周囲組織によって血管が圧迫されたり
上顎動脈自体が過度に伸びることで血流低下が発生すると考えられます。
そして
大脳の視覚中枢の血行が阻害されることによって
視力に影響を与えるようです。


そして
大きく口を開いた猫6頭中の5頭で
網膜電図の波形に異常が生じていたことが明らかになりました。


これは犬ではおこりませんが
猫では
構造上
発生する危険性があるものです。

猫の歯科処置や内視鏡などで
口を大きく開くときには
過剰な開口に厳重に注意することが大切であることが明らかになりました。


大きな開口器を使用する病院もあるので
歯科処置の際には
確認しておくといいでしょう。




ちなみに
自分で普通に口をあけるのは
建康によいことです。
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